壁の言の葉

unlucky hero your key

ツボっす。

NewMoonDaughter/CassandraWilson


 昨日の補足。
 吉田美奈子の中低音にやられちまうという。


 硬質な芯を内包したあの音域でやられるとね、あたしゃね、呻くんだ。
 姐さん「そこツボっす」と。
 そりゃあ、感情をふんだんにこめてパワフルに歌う姐さんもいい。
 Youtubeで見つけたLyricoとのデュエット。NaturalWomanなんか圧巻だよ。
 格の違いがモロ出しでね。
 そりゃ仕方がないさ。
 人生背負ってますから。
 てか、そこにあるのが歌なのか、はたまた彼女の人生なのか判然としないまでに、いや、そもそもそれを分けて考えるのが愚かしいんじゃないか、と気づかせるほどに。
 吉田美奈子という人は、どうしようもなく『歌』なんだ。
 だどもね、
 やっぱ中低音なのよ。彼女は。
 かつ、クールに抑えて歌われるとね。
 もおね。
 そりゃあね。
 ごめんなさい、だ。
 訳もなく降参だ。
 これでコーラスを重ねられたりした日にゃあ、ふんがふんが言いますよ、あたしなんざ。ふんがふんがと。
 言いませんけど。
 なんだ、ふんがふんがって。
 けど、なぜかファルセットなパートは、あたしゃ苦手なのですな。
 女性ボーカリスト全般にも言える事なんですけれどね。
 どうもママさんコーラスがトラウマになっているようで。
 どうしようもなくPTAのイメージが。


 だから、吉田美奈子の中低音フェチと呼んでいただいて、一向にかまわない。
 でもって、おすそわけしてあげたいくらいなんだ。このフェチをね。

 
 それでだ、
 ティンパンアレー系の面々とつるんだアルバムというと、どうしたって初期にかたよってしまうわけで。
 いまでこそジャパニーズ・ソウル・ディーヴァだなんてもてはやされる女性シンガーが、あたりまえにヒットチャートを賑わせますけど。
 70年代にすでにこういうことをやっていたというんだから、頭が下がる。
 てか、下げろと。
 薄っぺらな商業主義に背を向けてね、貫いたんだもの。姐さんは。
 『FLAPPER』なんか、聴き倒したっつの。
 いや、ほんとに。
 でも、その頑なな貫きが、のちにレコード会社を遠ざけてしまうことに。


 となると、予算的にも極端に慎ましやかなはずで。
 それがオケや音質に出てしまっているのかなと、つい思わせるものが年々目だってきて。
 もったいないんだな。


 ティンパンアレーとつるんでいたころとか。
 山下達郎とタッグを組んだのとか。
 はたまた村上ポンタ秀一のPONTABOXに招かれたやつとか。
 そういうのが、光っているんだ。
 自己完結ではなくて、きっとせめぎあいで光る人なのだ。
 ガチンコ。
 だから、また対等に張り合えるプロデューサーと組んでくれないかな、とここ数年はずっと思っていた。

 
 願わくばICEの宮内さんが抜擢されたりしないだろうか、だなんて。
 生前ラジオで彼、何度かリスペクトしてましたから。姐さんを。
 宮内さんの豊富な引き出しのお披露目としても。



 
 大物で、
 本物で、
 それなのに…。っていう存在。
 知らずに終わるのは、もったいないってえの。
 特に、シンガーを目指す女性は必聴。
 心して聴くべし。



 ☾☀闇生☆☽

 
 追記。
 だれかいいプロデューサーと組んでくれないだろうか。
 そう思わせる女性アーティストがもう一人。
 矢野顕子
 闇生は近年の数枚をのぞいて、全部もっている。
 うん、ファン歴が長いので、ひと言では言えん。
 ここでは控える。

 
 それと、女性の中低音ボーカルフェチとして。
 カサンドラ・ウィルソンは逃せない。
 アルバムもハズレが少ないし。
 なかでも『New Moon Daughter』は、けだし名盤。
 「Love Is Blindness」で、とりあえず泣け。泣いちまえ。
 んが、子供は聴くな。