「おいしいところが、いい。」
ゼロカロリー
だそうだ。
PEPSI NEXのコピーである。
清涼飲料水にとって『おいしさ』は、もはや二の次の時代であるようだ。
なんかもう、しみじみだ。
それはそれは、たそがれてしまうほどだ。
けどあらためて思い起こしてみれば発泡酒にしろ、
ジュースにしろ、
今やこのカロリーオフを謳うものはみんなやるのである。これを。
猫も杓子もまずはローカロリーが至上で。
んでもって、願わくば旨さもギブミーと。
どうかおめこぼしをと。
イケメンで仕事ができて、なおかつセンスもいいセレブなのに、なぜか自分だけを愛してくれる独身男がいいとか。
若くて巨乳でエロいのに、内気でおバカで、やっぱり自分にだけ尽くしてくれる人妻じゃなきゃだめとか。
イケメン巨乳でエロセンス抜群の内気なおバカセレブでありながら、自分のみを信仰するあまり飴もムチもパンチもくれる童顔巨根トランス伯爵夫人がいいとか。
よくないとか。
とかく大衆とは欲深いもので…。
とまあ、有り体を言えば、
おいしさをわざわざアピールしなければならないほど、まずかったということなのだろう。それまでのローカロリーものは。
つまりこのコピーは、
イケメンで有能はヤリチンだったのだ。
ヤングボインのエロ天然は○○○○だったのだ。
と言っているのに等しい。
うんにゃ、等しい。
なんかこれってさ、
ちょっとまえなら、野暮天とみなされていたことでしょ。
ラーメン屋の看板に、
「美味しいよっ!!」
と大書するようなもので。
スナック菓子の、
「おいしさアップ」
とかさ。
金ぴかジャケットに蝶ネクタイ、七三、ハリセン漫才師が、
「おもろいでー」
みたいな。
エロDVDのパッケージに「エロいでー」みたいな。
美人ピアニストのアルバムの帯に「ピアノ、うまいよっ」。
もとい、「ピアノがうまいところが、いい。」か。
銭湯の暖簾に「あったかいところが、いい。」…。
そうか、
このクールぶってるところなんだな。この違和感は。
とりわけ「いい。」が、まずい。
「いい。」の、すかしっぷりが、臭う。
イケてるキャラのすかしっ屁が。ぷんぷんする。
となれば、これはやはりコントのノリだぞと。
もし切実なダイエット目的でこの手のに頼ろうというのなら、悪いことは言わない。
やめときましょ。
その『頼る』とこがネックなんすよ。
カロリーは別として甘味は癖になるでしょ。
だから、甘味の常習はなおらない。
なのに、この手のローカロリーものにはいつか飽きる。
飽きても、甘味の癖は残る。
でまた、「いい。」式の、ローカロリー『にしては』のものを探す。
挙句、『にしては』のゴマカシの連続。
大人にしては、
子供にしては、
男にしては、
女にしては、
エロ屋にしては、
『にしては』=『のくせには』である。
そんなもんに借りをつくらないところが、いい。
甘味なんてものは、
たまのご褒美だからこそ、「いい」。
☾☀闇生☆☽