洗濯のあと、ストレッチとジョギングを一時間。
入浴と食事を済ませてから西荻窪の『ニヒル牛』へ。
元たまの石川浩司がプロデュースする雑貨屋感覚のアートスペースである。
駅南口から歩いて五分。
店頭の目印は、さび果てたガチャポンと、謎の黄色い標識『に』。
店内はスペースも雰囲気も駄菓子屋といった風情で、なんと古びた足踏みミシンをレジカウンターにしているのだ。
積み上げた木箱が陳列棚。
これが見ようによっては学校の下駄箱のようで、店内の空気が柔らかなのはきっとこの演出のせいだとにらんだ。
アーティーストたちはそれぞれがおもいおもいの箱を借りて、中に作品を展示するという趣向である。
言ってしまえばレンタルボックス。
んが、
秋葉や新宿のそれのように、トレーディングカードやアニメキャラのフィギアはひとつもないのだから、それらと同じカタカナでくくりたくはないなあ。
なんてそんな気持ちにさせるのである。
なんせ作品はすべてオリジナルだ。
手作りだ。
はみだしちゃった奴のインディーズCDがあったり(試聴可多し)、
体温のこもった絵本があったり、
オリジナルネイルありーの、
額に飾りたくなるようなポストカード、
手のひらサイズのオブジェ、
小説、詩集、句集の本類、
一作ごと封書に閉じた小説、
ほんわかした磁器、
ポシェット、
唐突に相談箱があったりして、そのにぎやかなことといったら。
多くの作家が書きこみ自由のアンケート帳を設置しているのだが、その帳面でさえ、それぞれ工夫してデザインしているのである。
無審査でありながらこれだけおもしろい人たちがあつまるというのは、やはりプロデューサーの人徳のなせるところなのか。
せっかくだからと、小生は絵本を購入。
『もと』という作家の作品で、CDのライナーノートの大きさの『すいみん不足』と。
同じく名刺サイズの『おやすみ』。
ついでに北口の『ニヒル牛2』にも足をのばした。
こちらは箱貸しスタイルではないから、1号店よりも雑然度が高い。
奥では軽食もとれ、書籍類をあつめた図書室もあるという触れ込みなのだが、今回は断念。
常連さんらしき女性陣がなにやら盛り上がっていて、いちげんのあたしにとってさながらバリケードの観があった。
とはいえ、
その家庭的な雰囲気すこぶるよろし。
この2号店では『tamax』という作家のパラパラ漫画をゲットした。
『FLIP・SLIDER』というシリーズもので、タイトルは『空想の自由』。
たいがいの作品が見本を手にとって吟味できるし、ひとつひとつが手作りゆえに、どこか愛おしくなることうけあい。
作り手の遊び心に遊んでもらって、いつしか時間を忘れていた。
店を出ると雪だ。
セロニアス・モンクを聴きながら、帰路につく。
また行こうっと。
この男、生憎とデジカメを持たない。
つまり映像がアップできない。
興味をもたれた方は『ニヒル牛』で検索してみてください。
商品のひとつひとつが紹介されています。
☾☀闇生☆☽