壁の言の葉

unlucky hero your key

芝居。

『火星年代記』

レイ・ブラッドベリ著、 小笠原豊樹訳『火星年代記』早川書房 以下はその感想です。 ネタバレと解釈される箇所もあるかもしれませんので、ご注意を。 野田秀樹の新作芝居『パイパー』。 その感想は、先月ここに書いたばかりであーる。 それで、この芝居を観…

『パイパー』感想、追記。 開演前、場内には古いジャズが流れていた。 ジプシー・ジャズの開祖ジャンゴ・ラインハルトか、 その盟友ステファン・グラッペリかという。 ともかく戦前の音源であることは確かである。 「それがどーした」 と言われそうでもある…

読み返してみると、たいして感想になっていない。 だもんで、ちょっち付記しとく。 引きつづき、ネタバレ注意で。 幸福値が極限にまでふくれあがると、その反作用がおこる。 となると、 ポジティヴを吸収してぱんぱんになった風船(パイパー)から吐き出される…

んで、 ブラッドベリの『火星年代記』を読んでみた。 詳しくは平成二十一年如月の章。の2月2日に記したが。 確かに、火星への入植と滅亡を、年代記的に描いたという点では、同じ流れ。 けれど、切り口はまったくの別物ですな。 ブラッドベリのは、たかだか…

「よく噛んでから飲み込みなさい」 よく言われたものである。 さらに言えば、飲み込んでから喋りなさい、と。 闇おぼっちゃまと。 口に入れたままべちゃべちゃやっちゃいけませんよと。 でもって、理想を言えば、終わってから感想を交わしましょねと。 え? …

まいった。 デヴィッド・ルヴォー演出の舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』に、である。 年末だったか、 あるいは年始だったか。 地上波で放映されたのを録っておいたのだが、観たのは昨夜。 実は録画した翌日に一度再生してはいる。 んが、 冒頭の酒場のシ…

がっかりしちゃったよ。 もお。 あのね、先日、ここで、別役実の著書『演劇入門』に触れたのだ。 芝居にとっては、その劇空間の感じ方、感じとり方が大切であるとかなんとか。 で、だからこそ、テレビでの劇場中継は、芝居の旨みが半減するとも。 役者のクロ…

空間的、とは。

よく言われれることだが、たとえば女性が、自分でそのイヤリングを外すとき。 右の耳のは右手で。 左の耳のは左手で。 という具合に、本来はそうするのが一番合理的であるのに、あえて手を交差させることがある。 右耳のを左手で、と。 そうすることで、ふる…

よしよし。

松尾スズキの代表作に『キレイ』という芝居がある。 設定、筋書きなどここでは省くが、こんな印象的なシーンがあって。 主人公はケガレという女。 その少女時代と、大人になった現在の彼女が、同じ舞台で同時に進行するという演劇ならではのくだり。 少女ケ…

賢しらぶってストリートビューのことを書いていたら、また『ポニョ』のことを思い出しちゃったよ。 再三、すまぬ。 「大切なものは半径3m以内に全部ある。」 映画のコピーは、確かそうだったはず。 むろん、社会的成功者としての宮崎駿のご自慢ではないでし…

「You Talkin’ To Me?」

このセリフは、映画『タクシードライバー』で有名。 言わずと知れたマーチン・スコセッシ監督の代表作で、主演のロバート・デ・ニーロの名を世に知らしめた傑作だ。 アキバの無差別を考えていたら、これを連想してしまったのである。 映画はフィクションだが…

なんだかんだ鼻かんだ。 気がつけばうっかりと、松尾スズキの新作舞台の前売りを、取り逃している。 『女教師は二度抱かれた』 大竹しのぶと組んでのコクーン公演。 でもってこのタイトルだ。 観ない手はないだろう。 と、いきこんでいたのだが。 ううむ。 …

京王線、国領駅近くで見つかった不発弾。 日曜はその処理で、電車は一部運休。 半径五百メートル以内の住人には避難勧告。 道路も通行止めとなった。 朝のワイドショーで、この不発弾となった爆弾の落下を、当時目撃したというご老人が証言されていて。 大群…

Home sweet home.

NODA・MAPの番外公演で、野田秀樹がひとり芝居をやってから、もう何年経つのだろう。 『2001人芝居』。 これで、にせんひとりしばい、と読む。 ということは、今世紀の頭か。 あるいは、前世紀の尻尾か。 以下は、そのネタバレも含みつつ書く。 放送されたこ…

とかなんとか。 連日演劇にふれて、いっちょまえに通ぶってみたわけだが、所詮お里は知れている。 エロ屋でござる。 やれ野田秀樹だ、 安部公房だと持ち出して『覗き』がどうのと述べたところで、かく云うエロ屋のほうこそ、覗かせ屋ではないか。 観劇しつつ…

その女は、 純白のレオタードに深紅のガーターとストッキング。ボブの黒髪をそよがせてまっすぐに駆けてくる、少年だ。 フォームは舞うようにゆっくりと。 けれど、ぴんと伸びた四肢はまるでバレリーナのようで。 目指すその美しき光の真下で、コトバを失う…

野田秀樹作演出『赤鬼』一九九六年 WOWOW放映録画にて 芝居は生で体験してこそ、語ることができる。 映像にはせいぜいその匂いのようなものくらいしか記録できない。 それは間違いない。 だから以下は、あくまで放映から推し測った感想にすぎない。 段田安則…

ネタバレ『12人の優しい日本人』感想など。

『12人の優しい日本人』という芝居がある。 劇作家であり、 脚本家でもあり、 最近では映画監督として活躍する三谷幸喜の代表作だ。 あの『古畑任三郎』を書いたひとと言えば、一番わかりやすいだろう。 映画好きなら、このタイトルからすぐに連想するに違い…

ちゃんと笑え。

たとえば、 A君とBさんが向き合って話している。 A「どうやら、おなかがすいたのでございます、でございます」 B「はい」 A「………………」 B「――はい」 A「でございます」 B「なにか作れってか」 A「でございます」 これを映画のワンシーンとして撮影して、編集…

後編は、おもに出演者について。 今回の主演は妻夫木聡。 大抜擢である。 作・演出の野田は、現代のファッション戦争と、歴史上のチンギス・ハーンの大遠征を、縦横無尽の言葉遊びと時空のジャグリングでもってダブらせている。 ここで妻夫木は大役テムジン(…

ネタバレ「キル」感想 前篇

NODA・MAP 第十三回公演 野田秀樹作・演出『キル』 十二月二十九日 渋谷Bunkamuraシアターコクーンにて 再々演である。 初演は1994年。 セット、衣装、音楽など基本的には初演のままであった。 つまり初演で立ち上げた世界が、この物語にとっての正解に近いと…