平成二十一年水無月の章。

準備は悲観的に、 して、 行動は楽観的に。 これ、たしか映画監督の伊丹十三が創作のこころがけとしていた言葉だ。 けれど、オリジナルは他のだれかだったはず。 きっといろんな人が言っている。 この、行動の前の下準備なり、推測なり、危険をまったく考慮…

突き抜けた芸人根性というものには、ただただ敬服するしかない。 お客の笑顔のため、 人知れず、 そしてひたすらストイックに磨き上げられてきた技というものには、どうしようもない。 畏れ入るだけ。 これまで、特別に興味をもったことは無かったし、 そん…

やりきれないよ、 まったく。 まるでそんな風情で、がっくりと溜め息をもらされるのだ。 「はああああぁぁ…」 どこでって、カウンターで。 エロDVDのお会計時に。 お客さんがさ。 なにもそこまでして、 などと思ったりもするのだが、 なんか、ときどき出くわ…

正しい。 おそらくは、あなたも正しい。 繊維質が足りないといってはお野菜を。 ビタミンだって欠かせないといって果物を。 んが、まずは炭水化物がなくては力が出ないっしょと白米を。 いやいや、何をおいてもたんぱく質だわと、卵に、大豆に、魚に。 そう…

歯医者へ行ってきた。 睡眠時無呼吸症候群の予防用マウスピースができたのである。 調整と仕上げがあるので小一時間ほど費やしたが。 前回とった歯型は上と下のふたつで。 すなわち上顎と下顎の歯並びをおおうように、それぞれにU字型のができている。 それ…

自棄に勢いがついて、ちょっち寝坊してしまった。 いかん。 ならばいっそ自炊をサボってしまえと、邪心がやさしくそう囁いたのだが、 「のおおおおん」 突っぱねた。 やさしくしてくれるのはいつだってヨコシマな自分ばかりだ。 んが、そこはひとつ、きっぱ…

大いなる理想のためには、小さな殺人もゆるされる。 して、その特権を握るのが、天才というもので。 いわずもがな、この世は天才と凡人とにわかれており。 もしもその悪が―、 もしくは罪が―、 この世の大多数を占める凡人たちの幸福に繋がるのならば、ゆるさ…

先日、睡眠時無呼吸症候群の検査入院を経て、紹介された歯科医院にマウスピースの型を取りに行ってきた。 都心では場所によって歯医者が異様に密集している。 注意してみると、あっちにもこっちにも歯ブラシの看板である。 この現状はコンビニより多いと揶揄…

それは、上京して間もないころだ。 年号はまだ辛うじて昭和で。 どうにかして仕送りを受けずに生活をこなしてやろうと企んだあたしは、食うや食わずの日雇い暮らしにすっかりすり減らされてしまっていた。 職の安定をもとめて、とある会社の門を叩いたのだっ…

事件から一年か。 アキバ。 実をいうと闇生はあの日、現場を犯行の一時間半まえに通過している。 べつにいつもと変わらぬホコ天直前の光景がそこにはあって。 警官らが、通行止めのためのカラーコーンを路上に並べていた。 その一時間半は、 ゆるぎのない一…

おとといぐらいから、近所に聞きなれない鳥の声がする。 ピロロロロリ。 と尻上がりに鳴いて、そいつやけに浮いている。 鮮やかなその音色から想像するに、どうも南国の原色系の鳥のイメージが沸くのだが、どこかから逃げたのだろうか。 逃げられたのだろう…

睡眠時無呼吸性症候群(SAS)の疑いあり。 そう己を見切って専門医の戸を叩き、先日検査入院を済ませた不肖闇生なのであるが。 今週になって、やっとそのデータの解析が完了したという。 なので、さっそくその結果を解説してもらおうと、雨のなか病院に出か…

「やぁぁぁあっしゃっすぅいぃぃぃぃ」 そんな声がこだまする。 某駅西口の電気街。 通りに面した中古ゲーム屋のカウンターのなかから、往来にむけてその店員は叫んでいる。 「やぁぁぁあっしゃっすぅいぃぃぃぃ」 やさしい、を感極まって連呼しているような…

少しまえに母の日があって。 厳密には何月何日であるのか、恥ずかしながらあたしゃ知らんわけですが。 けれど、四季の国ニッポンの季節感を奪ったはずのコンビニの、その店内の飾りつけに、今ではその移り変わりを教えられるという。気がつけば、この国はそ…