白野~阿弥陀海道。
『立石』を出たところ。
線路沿いの道をゆく。
碑面には『毒蛇済度』とある。
この地につたわる毒蛇伝説にまつわるもので。
地頭の家の娘が毒蛇になってしまった。
地元の池に棲みついていたが、親鸞聖人によって成仏されたという伝説だそうな。
ここもまた親鸞聖人ゆかりの地ではないか。
毒蛇となった娘に南無阿弥陀仏を唱えさせたということか。
むろん『毒蛇』という表現は、
噂と誇張のリレーによる誤差が時を経て厚く重なって、たとえがたとえの役割をなくしてのことだろうけれど。
その娘さんのどういう状態、状況が『毒蛇』と表現されたのだろう。
この道の反対側に『稲村神社』。
ひとつの根から三本の幹の杉の木。
道祖神の横隊。
よし、この木陰で弁当をとらせてもらおう。
12時35分。
弁当といってもおにぎり二つとゆで卵だけなのだが。
うまし。
境内は児童公園のようになっている。
やはりここも無人。
誰も遊んでいない。
どこ行っちゃったのだろうか。夏休みの子供たち。
古道にもどる。
ガイドブックではこの先『異形の松』を目印にT字路を左折。
しかしその異形の松が見当たらない。
それらしきお宅の庭から道へむけて幹が出ていて、それは境界線上で切断されていた。
通行の邪魔だということで伐ったのだろう。
古道はここを左折せずに直進するのだが、中央本線に遮られて通行できない。
その手前にあるお宅が、毒蛇伝説の娘さんのお宅とのこと。
さすがに写真をとるようなまねは慎む。
ふつうの一戸建てで、むろん毒蛇伝説についての説明書きはなかった。
引き返してガイドブック通りにT字路を曲がる。
曲がった先のJRの高架の手前。
そこが窪地になっており、今は畑だが『葦池』の石碑がたつ。
すぐ横には『葦ケ池』の丸太の標柱。
ここが毒蛇伝説の娘が毒蛇になって棲みついたとされる池のあと。
父の地頭は、親鸞の法力を目の当たりにし、その徳を慕ってか娘の成仏を願ってか、出家したという。
高架をくぐって20号へ合流。
スナックシルビア。
よろしいですなー。
車でもなければ通えないところにスナックである。
いまは閉店しているが、時代ですな。
看板には地元の名酒『笹一』のマークが。
本日の目的地『笹子』駅はもうすぐだ。
☾☀闇生★☽