壁の言の葉

unlucky hero your key

カイタイ。

 椅子解体して椅子買いたい。


 20年以上使ってきた我が木製の折り畳み椅子。
 ぼぎっと逝きました。
 セットで買った机のほうはいまだ現役ですが、こいつもいつ何どき、ぼぎっと逝くかわかりません。
 

 思えば今のアパートに越してきてすぐ、近所でみつけた金物屋の二階にあったのを見染めたのです。
 愛想の悪い店で。
 愛想がないのは結構ですが、悪いのですな。この店は。
 ゴムホースを「2mくらいください」というと、こうでした。
 「くらい、て?」
 その言い草は、ミリ単位ミクロン単位で切り売りできるテクがある自負からかと思えばそうではなく、
 「じゃあ2m3cm2mm」といい直そうかと思いましたが「2mジャストで」と答えると、結局はカッターで大体の見当をつけたあたりでぼつっとぶつ切りにされました。
 切断面もまっすぐじゃありません。
 それでも堪えたのは、その木製の黒い折り畳み椅子&机セットが素朴でかっちょよかったからですな。
 かっちまえば、もう二度とこんな店くるもんかと決めました。
 ともかくも支払いを済ませたのだけれど、商品は裸のままそこに置いてある。
 梱包する気も、配送の手続きをする様子もない。
 釣銭を渡すやいなやに別の作業をし始めた店員に聞くと、
「え? 運んでほしいの?」
 商売にとっていちばんこわいのは、凄んでまくしたててくるクレーマーではなくて、正論や理屈に関係なくだまって去っていくサイレント・マジョリティであるということを思い知るがよいと。
 そう念じたものの、先だっては毒蝮氏の有名なラジオ番組を招いていたというから、おもしろい。
 ああいう地元密着型のひなびた金物店ですらどういうわけか続くんですから、『北』だってつづくのです。
  

 話をもどす。
 椅子が買いたい。


 目下のところクラビノーバにくっついてきた背もたれ無しの四角い腰かけで代用しているので、パソコン作業が早漏である。
 すーぐ背中痛くなって横になっている。
 パソコン作業だなんてかっこつけては見たが、あたしにとってはネット見るか書くだけにしか使わない。
 さて、どうしたものか。
 かんがえてみれば、飯くうのも本読むのもおなじ椅子で済ましている。
 あたしゃプロのもの書きでもなければゲーマーでもないのだが、自宅での一日の大半をこの椅子で過ごしているわけだからして、もうちょっと見直してもよいのではないかと思った。
 たかが椅子だがされど椅子だ。
 姿勢がわるいと体の調子も崩れてくるし、目にもくる。
 

 というわけでデスクワーク用の椅子を検索した。
 やはりピンキリである。
 形は似ているのに、10万くらい格差があったりする。
 この際、大枚はたいて分不相応なのに手を出そうかとも思う。
 我がおんぼろアパートには似合わないが、しったことではない。
 せめて椅子くらいいいじゃんかと。
 長い付き合いにもなるのだ。
 けれど、そうなるとクリック発イチ!で済ますのもどうなんだと。
 こういうのは実際に座って確かめるべきではないのかと。
 めんどくさいなあ。
 店員さんとあれこれやりとりしないわけにはいかんしなあ。
 愛想がわるいのは論外だが、馴れ馴れしく付きまとわれるのも苦手なのであーる。
 ほどよく無愛想にしてほしい。
 で、その場でいいと思っても、こういうのはある一定の期間は使ってみないと本当の良し悪しがわからんと思うのだな。
 椅子にあわせてケツの形を変えるという手もあるにはあるのだが。
 いや、ないだろうが。
 




 うん、
 椅子買いたい。
 
 
 
 

 ☾☀闇生★☽