ヴォイド・シェイパ・シリーズ完結。
山奥で育てられていた主人公が、野に出、社会経験を積み、
サムライとして数多の修羅場をくぐり、この巻にいたって隠されていた己の素性を知る。
山奥で剣の修行のみで育った主人公は、一般社会からすれば無知蒙昧である。
常識というものとの慣れあいがない。
それがゆえに社会ではあたりまえとなった慣習やしきたり、文化、制度にたいして素朴な疑問を抱く。
その距離感・視点に、物事の本質を、読者に匂わせようというのだらう。
それは無知ゆえの知性と言えるのだらう。
んがんが、
決闘を経て記憶喪失という形で無知がさらなるリセットをされるのであーる。
ほう。
文体はそんな主人公の一人称で語られるのだ。
ために、例によって時代背景なども割愛され読者の想像にゆだねられていた。
無垢な精神から剣(技能)をうばうと、与太郎かバカ殿のようになってしまうのだ。
言い方をかえると、庶民とはなんらかの技能に継続的にたずさわる人のことであり、
してそれを時間的にリレーしていく人々であり、
対して君臨する位置の人というのは、技能重視で考えると、与太郎のように見えてしまうのかもしれない。
☾☀闇生★☽