痛い。

 何年か前からときどき発症していた右肩の痛みが昨夜に激化して眠れない。
 Aバリのウエイトを規制車に積むさいに気づいたのが最初で。
 去年あたりから、ドアをあける動作などで激痛が走り。
 前回は就寝中に痛みで目が覚めた。
 ロキソニンに恃んで現場はどうにかやりくりしてきたが、今回の再発はかつてない痛みである。
 眠れない。
 

 朝になって近くの総合病院に駆け込んだが、整形外科の担当医のお休み日だという。
 まじかよ。
 開院を待ちに待って、それかよと。
 とりあえず総合内科で診ましょうか、と案内嬢に選択肢を与えられる。
 んが、その「とりあえず感」に賭けてみるほどこちらには余裕がない。
 じっとしていても疼痛がずきずきとつづいているのだ。
「帰ります」
 無愛想に言い捨てて、立ち去った。
 

 電車で二駅、自宅最寄り駅の近くでどこかないかとスマホで検索。
 実は未明に検索はしておいたのだが、どこもネガティヴな口コミが目だって、いや~な感じであった。
 そういう書き込みを信じ込むのを、ネットの情報に振り回されるというのだろうが、哀しいかなこういう窮状にあっては藁をもすがるおもいである。
 しばし悩んだ。
 で、書き込みゼロの、地味~な町医者風情の整形外科の門をくぐった。
 そういうとこの方がかえって患者に媚びない昔気質の良心的な病院なのではないのかと、そうよんだ。
 

 地味~なただすまいとはうらはらに、院内は盛況。
 リハビリの順番を待つ常連お年寄りたちがおしゃべりに花を咲かせている。
 地味~なたたずまいからは予想だにしなかったが、リハビリ担当の熟ジョシたちがかなりの数、いる。
 少なくとも十人以上はいた。
 よろしい眺めである。
 てことはショーバイとしてもお盛んらしい。 
 彼らは診察の順番待ちではないので、常連お年寄りたちの数は初診のあたしの時間には影響がない。
 それでも三番手くらいであったか。あたしの番は。


 一分が永久ほど長い。


 てっきり四十肩、五十肩であろうと高を踏んでいたが、診察結果としては右肩の関節の上に石灰のかたまりが付着しているとのこと。
 レントゲンでもそれが白い影となって確認された。
 で、
 それとはべつに肩甲骨の痛みは、首の骨の傾きによって神経が圧迫されているとのこと。
 これは覚えがある。
 寝るときの癖で、左を向いて横にならないと眠れない。
 かつて睡眠時無呼吸性症候群と診断されてから、自力でその姿勢を習慣づけたのだ。
 んが、
 枕をするので、首が右に傾くわけで。
 おそらくはこれがいけないのだろう。
 そして、長時間のパソコン作業で姿勢も悪くしていた。


 石灰はお注射で段階的に溶かしていく方針。
 首は、けん引機でのリハビリで治療していくこととなった。
 

 熟ジョシたちが丁寧で親切で、好感触。
 なるほどお年寄りたちに人気が出るはずだと腑に落ちる。



 炎症を抑える薬と、痛み止めの座薬。
 それと湿布を処方してもらって帰る。
 

 今夜は休みたかったが、出るしかない。
 手当たり次第に拡張した戦線に、能力をひろく薄く分散するという愚かな戦術が続いているもんで。
 戦後、戦争を忌んで目を逸らす風潮が一世を風靡したばっかりに、こんな戦略・戦術をとる役職者が社会で幅をきかせている。
 負け戦のパターンではないか。
 ひとりこけたらみなこけた。
 馬鹿な上官のもとで駆け回らなくてはならない現場は、たいへんだ。
 



 ☾☀闇生★☽