1500円。

最低賃金1500円が達成されれば、三食たべられる!」
「八時間寝られる」
「安心して病院にいける!」


 通りすがりのアルタ前で夕刻、そんな演説をする声を聞いた。
 悲痛な叫びだった。
 なんか、すんませんな気持ちに苛まれて、足早にそこを立ち去った。
 すんませんね。時給1500円なんて世界は、夜勤で資格とって、特殊な現場について最近やっとクリアしましたが、そのまえからあたしゃ三食いただいていたし、寝ようと思えば八時間は寝られただろうし、病院にも行ってました。
 すんません。
 稼ぎたがりは周囲にやまほどいるので、そういうやつはむしろ望んで連投、連勤してますね。
 残業の縛りができてむしろ嘆いているのは、そういう稼ぎたがりの連中なわけで。
 働きたいのに働かせてくれない! と会社に抗議してるほどです。
 あたしなんざテキトーですから、衣服もこだわらないし、外に食べに行くこともめったにない。
 友だちもいなければ、
 テレビも観ないし。
 てか無いので、マスコミが誘導する世間のステータスとかいうのに引っ張られることもない。
 だもんで、裕福だとは思わないまでも、ひもじさも感じない。
 ネットの環境があって、安かろうがお酒がいただけて、本がよめて、書き物ができればよし、というのを幸福の基準としております。

 
 しかしひとりもんです。
 んなこと言ってられるのも、ひとりもんが故なのでしょう。
 老いがすすみ、大病にでもかかればそんなことは言ってられないのかもしれませんがね。
 業界的には賃上げが続いているし、少なくともオリンピックまでは慢性的な人手不足が確実なので、うん、なんだかなあと。



 では、今夜はワインで一杯。



 ☾☀闇生★☽