調布の仙川に打ちっぱなしのコンクリート肌の建物が並ぶ通りがあって。
まえまえから気になっていた。
調べてみればやはりデザインは安藤忠雄の手によるものだった。
くわえてその並びには劇場と美術館が含まれている。
今回はその建築を愉しむのに美術館をえらんだ次第であーる。
『東京アートミュージアム』
小さな美術館。
入口がまるで昔の成人映画館のようなつつましやかさで、つい通り過ぎてしまうのだが、館内は縦長で吹き抜けの三階構造。
狭くは感じない。
階段が空間の中央を折り返しながら上昇するようにしつらえられてあって、採光も、してその窓が切り取った街の景色も、統一された内装の一部になりすましている。
装飾は極限にまでそぎ落とされ、作品をひきたてつつ、壁の向こうの街すらもがその演出の一部という趣向なのだろう。
ここで観た、という『ここ』に重きを置くことがこの美術館の役割のひとつになっており。
それはネットで観ることでは得られない感覚ではないかと。
三者三様展。
スナオ
織田廣喜
クラウス・ファイファール
三人のアーティストが競演しているのだが、この三人の接点なり共通点は解説にない。
パンフレットには経歴があるだけである。
それもまたこの建築が示すように蛇足の排除ということなのだろうし、
そうすることで生まれた『余白』であろうと。
その余白に何を思い描こうが鑑賞者の自由なのだ。
クラウス・ファイファールの水彩画に見惚れた。
日曜の昼に行ったが、鑑賞者は自分だけである。
ぽつん、
と時間を忘れて何時間でもいられるような空間。
夕刻に来て、採光の変化を愉しむのもいいだろうと思った。
三月二十五日まで。
大人500円でしたー。
☾☀闇生★☽