歌、というのは声の文化であり音の文化だ。
言霊の世界。
それは文字が輸入されるまえからのものであり。
倭(やまと)の魂(ソウル)。
これをまとめて記録するのに、
つまり万葉集のようなものを作るのに輸入されてきた文字を使った、という。
漢字ね。
音に漢字を当てた。
一方、詩は文字あってこその文化で。
漢字といっしょに入ってきた。
あたしたちは漢字・漢文を学び、扱ううちにやがてそこから日本語の散文や小説を生みだした。
読み書きがあってはじめて生まれてくる世界であり、文化だ。
ということは、
芝居はト書きとセリフで成立しているのだから、そのお里は声の文化であり言霊の世界なのだな。
戯曲は、執筆の行為のなかで生まれるのではなく、音として生まれる世界を書き留めたものだ。
やはりまず声に出してつくるということが、重要。
最終的に音で伝えるのだから。
すぐれた小説家が、必ずしも劇作で成功するとは限らないことの原因は、この畑の違いにあるのだろう。
戯曲としての面白さと、音となって上演される芝居としての面白さの違いはよく言われることだが。
要は文化的背景、畑の違いなのね。
☾☀闇生★☽