映画『精神』感想。

 想田和弘監督作『精神』DVDにて


 《観察映画》と銘打つドキュメンタリー・シリーズ。
 今回は精神科診療所『こらーる岡山』を観察する。
 まず気づくのはナレーション、音楽が排されていること。
 そしてすべての患者たちが顔をさらしている。


 淡々と、
 といって間延びすることもなく続く、医師とスタッフと患者たちの記録。
 無欲な医師や献身的なスタッフの健闘を浪花節的に語りあげることもなく。
 患者を持つ家族の労苦をことさら切なく盛り上げることもしない。
 行政を罵り、露骨に同調する素振りもない。
 解釈の押し付けを可能な限り避けようという配慮からだろう。
 感じ、考えるのはあくまであなた。
 つまり観客の頭のなかで完結してもらおうというスタンスだ。


 まず、自分と彼ら患者たちとの違いというものを感じるだろう。
 言わずもがな、個体が違うのだから。
 けれど、それは自分と《いわゆる》健常者とされる隣人とのあいだに在る差異と、いったいどれだけ違うというのか。
 ましてや明日はそう思われる側に立っている可能性だって無くはないわけで。
 いや、ひょっとすれば、すでにこっそり後ろ指を指されているかもしれないのだし。




 日常、すぐそばにあって接しているはずなのに、つい見て見ぬふりをしがちな他人の精神、とそのズレ。
 といって、面と向かおうとして向かえるものでなし。


 この映画で、じっくり『観察』してみては。




映画『精神』予告編





 ☾☀闇生★☽