『悪魔とダニエル・ジョンストン』感想。

 ジェフ・フォイヤージーグ監督作『悪魔とダニエル・ジョンストン』DVDにて


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 生きる伝説的ミュージシャンで画家でもあるダニエル・ジョンストンの半生を追ったドキュメンタリー。
 双極性障害躁うつ病)を患いながら、その妄想にとらわれ苦しむ当人と、周囲の献身が記録されている。


 演奏も、歌も独学。
 つまりが個性的。
 おせじにもうまいとは言えない。
 有体に言えば下手っぴだ。
 んが、
 その唯一無比の個性的なメロディと詞が織りなす摩訶不思議な普遍性が、人々の心をとらえて放さないのだな。
 たぶん観終わるころには、あなたの耳にもいくつかのメロディがこびりついていることでせう。


 なるほどー、
 大物ミュージシャンたちにカバーされつづけるわけである。


 ほとんどの作品が、彼自身で録ったテープに遺されているのみで、
 それもダビングせず、一本一本録音して配布していたというのだから、驚くではないか。
 完売すると、ギターをかかえてテープレコーダーのまえでまた1曲目から録音していったという。


 おもしろいと思ったのは、こういった『いわゆる』天然さんを育む土壌があるということ。
 ましてや世間に埋もれたアーティストである。
 それでいて曲がいいのだ。
 ぱくっちまえ、があってもおかしくないだろうに。
 けど、そこはやっぱ「コピペでごっつぁんです」とはならんのだな。


 創作の才能はあるのにマネージメント能力に恵まれない。
 そのせいで埋もれたままになってしまう作り手の不遇というのは、ままあるものだが。
 ともすれば、そういう『埋もれた宝』を待望している土壌があるのではと。


 おもしろいのがいるよ。


 と人から人へと伝播されていく。
 この土壌。
 これは以前にここに感想を書いたドキュメント映画『ハーブ&ドロシー』にも感じたことでもあるのだが。
 むろん我が国にもないことはないのだろうけれど。


 当人の絶望と、その狂気に翻弄される周囲の心労もつづられているのだが、観終えてみれば、ふしぎとあたたかい気持ちでいる。
 結局は、多くの人に愛されているからだろう。







 しっかしまあ、
 マウンテンデューへの賛歌にはやられました。



 ☾☀闇生★☽