内は、外。

 大晦日。
 夕刻から赤ワインをちびちび。
 DVDで談志の芝浜を観る。
 日中にウォーキングでみっちりと汗をかいておいたせいか、一席終わったころに眠くなる。


 Sawanose;Houzan Yamamoto+Masabumi Kikuchi


Sawanose;Houzan Yamamoto+Masabumi Kikuchi




 ちょいと寝てから零時過ぎ、いつものように近所の神社に初詣。
 多摩川の支流に沿う遊歩道を歩く。上流へ。
 この神社は近くに駐車場をもうけない。
 交通の便もよろしくない。
 そのせいで、必然的に参拝者のアシはみな徒歩かチャリと相場が決まる。
 ましてや急峻な男坂を経て参道へと至る趣向であるわけで。
 なんだろう。
 それらバリアがある種の結界の役割を果たしているのだろうか。
 よって未明の静謐さは保たれて。


 社は、戦国時代に城(砦)として機能していた小高い山の中腹に。
 戦時中は空襲にそなえて高射砲が据えられていたという。
 川はそのふもとをなぞるように辿っている。
 遊歩道には街灯がなく。
 神社をめざす人の数はまだまばらで、彼らが手にする懐中電灯の光が川沿いに揺れていた。


 山は、より鬱蒼として闇を深め。
 星は、色彩と遠近の多様性を保って。


 たしか去年は、和太鼓と面をつけた男(福男?)の踊りが参拝客を迎えていたはず。
 おひねりを渡す人には、介添えの娘が礼を言ってお神酒をふるまった。
 それが今年は無い。
 その代わりいつもより巫女さん姿の女子が増えた。
 これがまた初々しいのね。
 やらされ感がない。
 愛想もいい。
 よろしいですな。
 おっさんは直視でけまへん。
 まあ、コスプレみたいなものだろうし。
 友だちとつるんでの参加でもあろうし。
 交通安全のお守りだけを求めて、去年のそれをかがり火に添えて帰る。


 帰宅して、さて何か書こうとしているとスマホに着信。
 02時半。
 職場の先輩から。
 話が異様に長く、言葉の重複が多く、しつこーいお方である。
 シカトする。
 あけおめならメールで済むだろうに。
 それをわざわざ……。
 嫌な予感が、した。
 神社などの正月限定の現場に欠員でも出たのか、
 あるいは急な仲間の訃報か。
 数分後、今度は会社の内勤者から着信。
 となればただ事ではないと思い、出てみる。
 未明開始の現場で欠員発生とのこと。
 役所とのとりきめで、警備員が予定人数そろっていないと作業が開始できないと。
 欠った仲間は、日付を勘違いしたらしい。
 でまた、そんな勘違いばかりやらかす奴でもあったのだが、日付の変わる未明の現場ではちょいちょいやらかしがちな事案である。
 ともかく、先方さんはケービ員が揃うのを待っているというではないか。


 原チャをすっ飛ばして都心へ。


 地元の神社とうってかわって喧噪のまっただなかへ。
 奇声を発しながら行きかう人たち。
 人種さまざまな男女のよっぱらい。
 音楽を轟かせて群れている地方ナンバーのHUMMER。
 その車上でハイになっている人たち。
 を見ている人たち。
 とは関係なくおっぱじまる喧嘩。
 を排除する警察官たち。
 の赤い誘導灯と回転灯。
 拡声器から投げられる権力者のツッコミ。


 あそうか。
 ここにはバリアがない。


 いや、
 逆から見ればこれもまたそのバリアの中なのか。
 清から濁へ。
 内は、外。
 外は、内。


 この振れ幅もまたニッポンのおもしろさなのだろうか。
 あのバイトの巫女さんたちは、こっちを選ばずそっちを選んだ。
 同級生のなかにはこのカオスの方を選んだ子もいただろうけれどね。




 車道に散らかったガラスの破片を婦人警官がかたづけている。
 おつかれ。
 しらふでこれに付き合うのは、しんどいよね。








 今年もよろしく。



 ☾☀闇生★☽