前職について現場でうっかりもらしたばっかりに、連日いいようにいじられている。
エロDVD屋、と聞けば、まあテンションあがるんだろう。みんな。
他店との差別化をはかって、扱っていた商品は特殊なジャンルだったんだけどね。
ヒジョーにマニアックな、偏った品ぞろえをしていたのだけれどね。
というかそのつくり手たちはそれを「エロ」とは解釈していないのだけれどね。
でも、そんなのお構いなしなのだな。彼らは。
エロという抽象的で、それがゆえに巨大な幻想のなかにあたしをいいように押し込んで、茶化し続ける。
まあ、リアクション的にさぶいのもなんなんで、のってやったりもするのだが、マニア店で働いていたあたしに向かって中学生のようなシモネタを吹っかけてくる。
しかももう二週間。
それがつかれるのだ。
好きなえーぶいじょゆーはだれですかあ?
いい歳ぶっこいたおっさんに、そんなニキビ臭い質問を夜通しされるはめになった。
ふつーのエロ屋ならそれでもいいんだろう。
ただしAV女優、というくくりはあまたあるジャンルのひとつに過ぎないからね。
そのへんを説明しようにも、理解されない。
そういった問答を無線でやりとりしているうちになぜか『ゲイ』ということにされてしまった。
お気に入りのAV女優とやらをもたないと、ゲイらしい。
じっさいには『おかま』呼ばわりされたのであるが、そのうえで「おしりは貸しませんからね」などと遊ばれる。
ううむ。
ゲイ。
おかま。
それぞれの定義やらなんやらが頭のなかに渦巻くが、そんなのは十把一絡げなのだ。一般には。
正しい認識などどうでもいいのだ。
嗚呼、めんどくさい。
それにあたしゃ売り子さんに過ぎなかったわけで。
食いぶちとして、その店に所属していたに過ぎないのね。
んが、
カンケー無いのだな。
この二週間ほど、ずっとそのネタでもちきりになっている。
いらだちがただならない。
つかれる。
☾☀闇生☆☽