壁の言の葉

unlucky hero your key

人気。

 あ。
 今夜新年会じゃないですかー。
 勤務先の同僚どもが企てた景気づけの。
 年末の打ち上げ(忘年会)にも出られなかったし、
 今夜もやっぱり行けないなあ。
 なんせ呼ばれてねえからな。
 出られない。
 悪いことしたなあ。


 ひとりで呑もう。
 

 とウォーキングがてらのスーパーの帰り。
 2歳くらいの子供に挨拶された。
「おはよーございます」
 と、足を止めてお辞儀までされた。
 夕暮れ時である。
 おもわず「おはようございます」と返す闇生。
 付き添っていた美人ママが噴き出した。
 子供はそれにかまわず足もとから小石を拾ってあたしに差し出す。
 ほら、拾いたてだよ。特別にあげるよ。といわんばかりに。
「いらないよー」
 といいつつ去っていくあたしを茫然と見送る子供。
 そのつぶらな瞳。
 石はいらないって。と諭すママ。胸には赤ちゃんを抱いている。
 しまった。
 あたしとしたことが。
 これは「お題」なのだ。きっと。
 ほれ、ボケてみな。と笑いを生むチャンスを赤ちゃんがくれたのに違いない。
 それをみすみすスルーしてしまうなんて。
 正直そばにいたママさんに萎縮してしまったのだ。
 通りすがりの見ず知らずのおっさんが、はたしてどこまで絡んでいいのか、と。
 しかも、調子に乗ってすべったらどうすると。
 そりゃあママさんは愛想笑いをくれるだろう。
 けど、どうなんだ。そんな甘やかされかたは。
 おっさんとして。
 人生の先輩として。
 やったー、これ前からほしかったんだー、とかなんとかノリツッコミくらいはかますべきではなかったか。
 




 そーゆーとこだぞ。俺。
 呑みに誘われない要素は、そーゆーとこっ。






 めっ。



 ☾☀闇生☆☽