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覚書。12/21

 現場のまえに会社へ立ち寄る。
 尊敬する重量級ベテランに遭遇。
 開口一番に後輩の某が現場の車で事故った、と教えられる。
 驚いて、耳を疑った。
 接触事故で、相手があるという。
 

 彼は2トンを乗り始めてまだ3、4か月。
 自分でアタマを張る現場を持ち、自信もついて、慣れてきた頃ではないだろうか。
 慣れに狎れた、のか。
 事故は、そういう頃におこるものである。
 詳細はわからない。
 どちらが悪いのかもわからない。
 しかし原因がなんであれ、そして自分側の落ち度のあるなしに関わらず、精神的ショックは小さくはないはず。


 自分を救える奴にしか、他人は救えない。

 
 取り急ぎ、励ましのショートメールをしておく。
 いわずもがな、なけなしの受け売りである。
 きっと近しい仲間や会社からの連絡、事故相手との交渉や保険屋との連絡でいっぱいいっぱいになっていることだろう。
 自分を失ってはいけない。
 相手のためにも。
 そして彼には守るべき伴侶がいる。
 落ち込んでばかりはいられない。
 メールは彼との距離をふまえて、簡潔に。


 溺れるひとを救えるのは
 溺れていない人だけ。


 この夜の現場。
 とあるトンネル内の規制。
 その距離、おおよそ1km。
 数年前に派遣としてついた池尻大橋JTの工事を思い出す。
 トイレカーまでの往復だけで20分は歩いただろうか。


 
 04時半、定時下番。


 
 勤務中、某先輩から電話。
 後輩の事故の件。
 相手はバイクとのこと。
 その怪我の程度は「言えない」と。
 彼は黙ることで後輩を守っているつもりなのだろう。
 事故は隠しようもないが、そこだけは伏せてやってくれという。
 人の不運や失敗を愛情もなく茶化す奴がいるのだ。
 他人の不幸は蜜の味、と公言する者までいる。
 底辺ならではの、と思いたいが、そんな輩はきっとどこにでもいるのだろう。


 現在、当人には連絡がつかないという。
 この夜の現場でその先輩は彼と組む予定だったが、すっぽかされているという。
 いやいやいや、仕事どころではないだろうに。
 その現場は彼に連絡がつかぬまま欠員状態で開始したとのこと。
 会社は早くから代打を送りこむ方針だったが、その先輩がそれを拒んだのだ。
「待とう」と。
 

 その後輩もまた先述の友好支社の仲間と同様に「尊敬しています」とあたしにメールをくれた後輩。
 流行ってんのかね。
 字義どおりに受け取るとするならば、
 謙遜で無しに、身に覚えがない。


 結婚を前提に同棲しているカノジョがおり、クリスマスにプレゼントをしようと連投で稼いでいた矢先のことであった。
 もともとカノジョはこの仕事に賛成していない。
 あたしもそれには同意する。
 将来有望な若者に、ケービになんぞに染まってもらいたくはない。
 





 ☾☀闇生★☽