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思いの外はやく終わった夜勤現場の帰り。
ぬるい風をあびながら長い長い下り坂をチャリンコでゆく心地よさといったらない。
浮き世のことはどこ吹く風。
夜勤は暗いうちに帰るにかぎるのだ。
日がのぼって、日勤現場へと急ぐ職人たちでせわしくなっていくコンビニでひとり、酒とつまみを買ってかえる罪悪感が楽しめたのも若い自分までであって。


まあ、それもそれで身の丈なのだろうが。


この夜はめずらしく、自転車泥棒取り締まりの警官にも出くわさず。
さてきょうは何の映画を観ようかとシャワーを済ませてタオルを取ると、そいつが居た。
壁のタオルの陰からぽてり、とおちてごそごそとのたうつソレ。

ムカデである。

体長15センチほどのぶっといのが、居る。
ここはアパートの二階である。
まっぱのおっさん、大いにおびえてゴキジェットを取りに走った次第。
何をされたわけでもないのに親のカタキとばかりに執拗に噴霧す。

いや、無断で侵入されているのだからして、駆除されて然るべしなのだろうが、仮にこれか仔猫だったならはたして、どうだろう。

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドを観はじめても、しばらくはバスタブの裏手のほうでもがく音がしていた。



ムカデよ、
いったいなにしに我がアパートの二階まで。
そこに何を期待して、夢見たの?





(闇生🐛)