東京に住んでいると車がいらない、などと人はいうが。
三鷹の深大寺あたりといえば、車・バイクを持たない人たちにとってはまことにもって交通の便が悪い。
たしかに、深大寺そのものや隣接する植物公園は観光地であるからして、そこのみが目当てならバスが出ている。
それでもバスはバスだ。
ならばその周辺スポットとなると、路線バスを使いこなすほかなく。
といってもバス停の経路図をにらんでみても、とんと要領を得ず。
ネットで検索したところで、電車ほどに親切なサイトも見当たらず。
温泉まであるにはあるらしいのだが*1、はて、どうやって行ったらいいの? てな具合になってしまう。
いま闇生が携わる現場もアドレス的にいえば深大寺だ。
しかし観光地の深大寺からは程遠く、週末でも賑わいの気配すら無い。
お盆なんか、人影すらなかった。
仕事の暇をみてはその界隈を徘徊してはみるのだが、やはり静寂の原因は交通の便の悪さといった印象を抱いてしまうのだな。
こないだやっと噂の温泉をめっけた*2。
仕事中だったので、むろん入浴はあきらめたさ。
がついでにそのあたりを散策してみた次第なのであーる。
温泉が*3ひとつでれば、それで自然と人が集まり、栄えて『温泉街』になるものだとてっきり思い込んでいたのだが、それは偏見というものらしい。
ここ深大寺の温泉*4のまわりは鄙びた地元スーパーが1店あるきりなのであった。
隣接するのは、ぶどう畑。
うん。
それはそれで、あたくし好みなのではないかと。
いい感じだ。
いかにもな観光地というのは、目にも耳にもうるさくて、よろしくないわけで。
御当地にまるで関連性の無いアニメキャラクターの商品なんぞを、しれっと陳列している店があったりして、観光地でそんなセンスに哀しい想いをさせられてしまったことが、ありはしないだろうか。
そこいくと、深大寺の温泉ストリートは違う*5。
目立つのは、地元スーパーだけ。
それだけ。
住宅街に温泉*6とスーパーだ。
どうだ。
とご満悦で徘徊していたのだが、ふと思い出しちゃったね。
昨年末の現場でご一緒した先輩が、クリームパンを差し入れしてくれたことをである。
曰く、
「感動的なうまさ」
とのことだった。
残念ながら味音痴の闇生には、その感動まではわかちあえなかったのだが、その原因はおそらくパンの温度にあったのではないかと睨んでいる。
極寒の警備状況を慮って、心やさしき先輩はパンを車のダッシュボードに乗せ、温風で温めておいてくれたのである。
思うに、その時間が長すぎた。
ともかく、その記憶がよみがえり「深大寺のパルティール」という店名まで思い出したのであーる。
なんと、探すまでもなく、店はその温泉*7のすぐ近くにあるではないか。
まことにもって地味な設えをしており、その店主といえば、たったいまのいままでパンをこねくり回しておりました的な。酵母と取っ組み合いをしていました的なシャツの汚れっぷりで、それはもうトルネコのような見てくれと親しみやすさで迎えてくれましたよと。
めでたくクリームパンと感動的な再会を果たした闇生だ。
どうせならと『ずんだコロネ』なるものも、所望す。
来月あたまにひかえている健康診断のことなど思い出すような野暮天ではない、と言い聞かせて所望す。
うまし。
感動的に、うまし。
クリームは、ぶりぶりいうほど弾性に満ちてシュークリームのごとし。
あたくし焼き立ての皮でございますよと、アピールしてくるパンの皮の香ばしさとまぐわいつつ、くんずほぐれつ、その甘さに耽溺す。
ずんだコロネ。
うまし。
みっちりと隙も無くパンの渦を満たしたずんだ豆味のホイップクリーム。
ああ、こぼれちゃうこぼれちゃうと、おっさんひとり笑いながら頬張った。
ただしこれは紅茶があるとベストだろう。
おっさんには、ちょぉーっと甘みが濃いかも。
それを中和するのはちょい渋めのストレート紅茶かな。
けど、文句無し。
完食であーる。
サイト。
↓
パンの家 パルティール
☾☀闇生☆☽