盆休みはこれといってすることもなく過ごす。
 洗濯。
 ウォーキング、
 サイクリング、
 昼寝など。


 数日、かつての勤務先の後輩とのメールのやりとりが、ちと宗教がかってきている。
 だもんで、話に出た映画のひとつ『最後の誘惑』を観直した。
 啓示を受けてからゴルゴダの丘で磔にされるまでのイエスの葛藤を描いたもので。
 あたしにとっては、初見ではぱっとしない印象だった。
 けど、公開当時に各方面から上映中止要請が出たという問題作でもあったのだ。
 最初に観直したきっかけは、当時勤めていたレンタルビデオ屋の常連さんのすすめで。
 その方は宗教的な解釈をひとつもひけらかすことなく、まるで伝説的ロックバンドのライヴビデオを語るようなノリでもって、冒頭の数分を熱弁してのけたのであった。
 激するあまり彼はカウンターのなかにまで乗り込んできた。
 そして、たのむからその冒頭だけでもいま確かめてくれと咳き込んだ。
 ピーター・ガブリエルの手によるパーカッシブな音楽と、地べたでエビのように丸まって苦悩するウィレム・デフォー演じるナザレのイエスのシーン。
 やがてイエスが目覚め、音楽が止むと、その常連さんは「どもありがとう」と背中で言って去っていったのである。
 アンコールを歌い上げるやいなや、バンドの演奏の終わるのも待たずに引きあげて行くロックスター様であーる。





 ともかく、初見でぱっとしなかったのには訳がある。
 映画は感覚だけでは感じ取れない部分も少なくないのだ。
 ようするにキリスト教についての基礎知識があたくしには皆無だったということである。
 よって上映中止を迫られるほどの問題が描かれているだなんて、理解できていなかった。




 ちなみにこの後輩とのやりとりではベルトルッチの『リトル・ブッダ』も喩えとして俎上にあがった。
 チベット仏教の高僧が、米国をふくむ三カ所に生まれ変わるというこちらも大胆な解釈によるものであったが、上映中止の要請なり運動がおこったとは、ついに聞かない。






 ☾☀闇生☆☽