その現場監督は週末だけ、夫婦で過ごすという。
土曜の午後に奥さんを病院に迎えに行き、その日のために作ったレシピをもとにスーパーで食材をそろえ、ふたりで手料理を愉しむ。
言語に障害を抱えることになったいまも、料理をするのが唯一の楽しみなのだとか。
夫は60歳を過ぎてなお現場に寝泊まりするほどの激務の日々である。
年金の支給まであと5年は働かなくてはならない。
ふだんは犬とふたり暮らし。
朝はスムージー。昼は玄米に雑穀米の弁当を自分で作って持参する。
それで精一杯だろう。
他人事だから言えるのかもしれないが、どこかうらやましく感じた。
その仕合わせは、紛れもない。自前だ。
☾☀闇生☆☽