歩行者通行止め&迂回の案内ほど厭な役回りは無いね。
 嗚呼、イヤだイヤだ。
 現場から300m離れた地点での迂回のお願い役を務めることに。
 なんせ現場から最短の迂回地点が、そこにある横断歩道なのである。
 現場からその横断歩道間に横道は一切無く。
 よって当該マンションの住人さん以外は、一旦反対側の歩道にわたってもらって、現場の先でまた横断歩道を使って戻っていただくことになる。
 それでもおられるんだ、かならず。


「もっと手前に看板出しとけ」


 都心の300mって、結構な距離よ。
 充分だと思いません?
 それ以上現場から離れたら、そんな告知看板などだれが気に留めようか。
 スマホとヘッドホンにウツツをぬかしておられる方が大半である。
 掲示物などみちゃいない。
 そのくせ看板出しとけ、である。
 現に歩道をバリケードで塞ぎぎみにし、矢印看板でその横断先を示し、迂回路のイラスト看板と工事内容を示した看板を立てて、そのまえに誘導員が立っているにもかかわらず、看板と看板のビミョーな隙間をしれっとすり抜けようとされるかたばかり。
 そこで声をかけなければ、どんどん入ってくる。
 看板の文字などめもくれない。
 看板が道を塞いでいる、というのはどういう意志表示なのかという疑問すら、歩行中の人間というのは抱かないものなのだ。


「こんなに長い距離の通行止めなんか、許可がおりるはずがない」


 はい。だから、予告しているんですって。
 こっから現場までの300m間は、横道はおろか他の施設もありませんと。
 左面は車道。
 右面は延々と続く巨大公園の石垣。
 だもんで厳密には入っては行けるが、そこから先は通り抜けられないと。
 穴掘ってると。
 そこでUターンさせるのもなんなので、ここでご案内してると。
 で、


「許可書見せろっ」


 はい。と承って現場責任者に電話を入れてると、かならず去っていく。
 待ってられるか、という態で。
 結局は迂回路を行かれる。
 

 ご迷惑をおかけしているのは重々承知なのだが、迷惑を一切かけずに都市の利便性や安全性をあげる工事など不可能だ。
 そこはひとつ、どうかどうかご理解を。
 嗚呼、
 今日も同じ現場である。






「おれはそこの住人だっ」


 んだからなぜ怒ってんのよ。
 言ってくんなきゃわかんねえよ。
 見かけで判断せえってか。
 


 




 ☾☀闇生☆☽