久しぶりに電車での通勤。
 自分の前に立った中1ぐらいの女の子が、左手にバッグ。右手にルービックキューブを捧げ持っている。
 まるでマウスでスクロール操作をするように人差し指だけをキューブの回転につかい、あとの指はキューブ全体を支えていた。
 なかなかにいい光景ですな。
 老若男女のほとんどがスマホだかでゲームなどに興じるなか、ルービックキューブですよ。あーた。
 しかもかなりこなれていて、いましも六面すべてがそろえられようとしている。
 ひとり異彩を放っていて、なんかかっこよかった。
 たしか『ピンポン』のスマイルも寡黙なキュービストだったね。


 日本では初めツクダ社から発売された。
 世界的なブームとなって、米国では、解けなかった人たちのイライラ解消アイテムとして、これを破壊する専用のハンマーまで売られたほどだった。
 むろん、そうなるとパチモンが出回るのが世の常で。 
 そのパチモンはあからさまに安っぽく、軽く、そして簡単に分解・組立てができたものである。
 当時、あほな同級生が言ったものである。本物が買えなかった負け惜しみなのだろう。パチモンのほうが六面揃った状態で組み立てられるから『良い』のだと。
 ラクじゃんと。
 とどのつまり、遊びの目的さえ見失ったそんな子供が続出するほどのブームだったのだ。
 あたしゃツクダが出していた初代の質感が好きだった。
 パチモンは回転させると中の空洞と薄っぺらなプラスチック感がぱこぱことした音となって丸出しとなる。
 有体に言えば、貧乏の音だ。
 ツクダのは、回転時のキューブ同志がこすれる質感にゴムっぽさがあった。
 ぎうぎう鳴るのだ。
 このぎうぎうがたまらんかったのである。
 しかし、同級生のだれひとりとして、そこにこだわりをみせる人はいなかったのであーる。


 いかに早く六面をそろえるか。
 それだけだ。


 数年前にふと思い出して、ハンズで買ったものが手元にある。
 展示コーナーのポップには『元祖』とうたってはあったが『ツクダ』の表記がどこにも無い。
 日本での販売権利が移動したのだろうか。
 半信半疑で購入してみたところ、やはりあの「ぎうぎう」感がなくなって「パコパコ」いいやがるではないか。
 料理でいえば、メニュー自体は変わらないのだが、食感がまるで変わってしまっているといったところだろう。
 触感、といおうか、いじり感と言おうか、それもふくめて遊びなのではないのかと。




 アナログゲームともあろうものが利用者の生理にうったえんでどーすんだ。おい。
 




 たとえば日本では器(陶器)のよしあしとして、手にしたときの収まり具合や手触りを注目したりする。
 ゲームでもコントローラーなどはそういう観点をもって作られているのだろうし、それでこそ日本製が世界でのしたのに違いない。
 しかもよく見ればカラーシールの『茶』と『蛍光オレンジ』の彩度が近く、とりわけ『茶』は色むらがあって紛らわしいときたもんだ。
 パズルゲームとして完成されているのだから、せっかく認可を得ておいてこの体たらくはあんまりではないのかと。



 

 
 




 
 あのね、ビミョーす。
 




 ☾☀闇生☆☽