昨夜の現場。
 土砂降りの雨。
 レギュラーメンバーのひとりで、連投屋でもあるYさんがお休みだった。
 事情は知らないが、他の仲間には何も言わぬままの休暇であった。
 その代打としてこの日は別のベテラン氏がかりだされた形で。
 場は、とーぜんのように、黙って休んだその人の話題になりますわな。
 Yさんは最近になって頑なまでの「触れてくれるな」感をみなぎらせるようになっており。
 休暇を取るのは勝手だが、仲間なんだからひと言連絡くらいは欲しかったと別のベテランHさんに指摘され、
「なんでそんなことをいちいち連絡しなくてはならないんですか」
 と気色ばんだという。
 この日、どうやら物事をこじらせているのはこのベテランHさんらしいと判明す。
 どうやらあたくし闇生がYさんを嫌っているとあちこちで喧伝しているらしいのだ。
 自身の考え(物語)を正当化するのに、すぐ他人を持ちだすHさんの悪い癖である。
 曰く、


「闇生さんも嫌ってるみたい」と。
「あいつめんどくさいんだよ。ねえ、闇生さん」と。


 あたしがHさんと交わしたのは、
「あるときから彼は急に俺を煙たがりはじめた」
 そう感想を云ったまでである。
 あたしゃYさんに嫌われてはいるだろうが、こちらは彼を嫌ってはいない。
 なんせめんどくさいから嫌い返すことをしない。
 好き嫌いでヒトを見ないことにしているから、人物をまるごと嫌うことはしないし、また盲目に好くこともしない。
 彼に対しては「もっと効率良く動けないだろうか」とか「社交をドライにはできないだろうか」とは思ふ。
 んが、
 だからといって彼という人物を総合的に嫌悪しているわけではないのだ。人の良し悪しはむろんのこと。
 恐らくは彼のモットーであろう「身を削ってでも人の世話をとことん焼きぬく」というあからさまな姿勢は長所だろう。
 んが、それゆえ対象者にとっては『重い』ことにもなる。
 有体に云って、しんどい。
 それでいて頑として自分のやり方や知識が正しいとするところも、裏付けられた自信という側面と、他者を拒む頑固という側面がある。
 長所があって、短所がある。
 それでいいんじゃないかと。
 だからある人がある人のネガティヴな一面を口にしたからと言って「彼を嫌っている」などと安易に人を組み分けするのは、洞察の怠慢なのだ。
 四捨五入どころか十把一絡げの切り捨て、切り上げ、丸投げ、ポイ捨てだ。
 いい歳ぶっこいて、まったく。
 自分大好きの脳が、自分に楽なように怠けたがっているのに過ぎない。









 あなたがニンジンならば、嫌う人もいれば、好く人もいる。
 そこに含まれた栄養素に関係なく、ときに嫌われ、ときに好かれる。
 あるいは調理次第で、それも変わる。
 ころころ変わる。
 それでいいじゃないか。
 ニンジンは、人を拒まないし。
 嫌わない。
 わたしはニンジン。
 好かれようが、嫌われようが、ニンジンはニンジンだ。







 追伸。
 激しく好かれたことがない。
 ならば激しく呪われたこともないに違いないと。


 ☾☀闇生☆☽