西へ行くと山があり、生い茂る新緑に庇われるように渓流がその斜面を縫っている。
 母はその水辺の木陰で、楽しげに山菜をとっていた。
 どうやら風景のスケッチがてらに、友人たちと遊んでいるようだった。
 引き返して東へ行くと海。
 眩しいほど白く晴れた砂浜の先で、父がイシモチ釣りをしている。
 持て余して、ひとり家に帰ると、空に轟く爆発音。
 山の向こうに黒々としたきのこ雲が立ち昇っているではないか。
 山頂から噴き出した溶岩が、木々をなぎ倒し、焼き尽くしながら斜面を流れてくるのが見えた。
 するとまたドーンと爆発音だ。
 振り返ると今度は海の方にきのこ雲。
 東からも溶岩が押し寄せてくる。
 それは津波のように地面に盛り上がり、呑み込んだ家屋でひしめいて、隙間も無い。
 西へ、西へと走って逃れるが、そこには山からの溶岩が、まだ冷え切らずに立ちはだかっている。
 にもかかわらず迫りくる海からの溶岩。
 あわや双方に挟まれて焼け死ぬかというまさに寸前、山側の溶岩に右足を踏み入れたとき、海からの溶岩の流れが止まった。
 じゅっ、
 と鳴って、激痛の走る右足。
 スニーカーが溶け付いて、足と一体になってしまったようだった。
 しかし、見ないことにする。
 気が張って、痛みもそれほど感じないのをいいことに、そのまま母を捜しに。
 まるで当たり前のように、父と合流する。
 幸い、溶岩は渓流を避けるように通り過ぎたようだった。
 溶岩の山肌に黒く一筋、渓谷を穿つように水が流れている。
 右足を冷やしつつ川をたどり、父と手分けして母を捜して歩いた。





 ☾☀闇生☆☽