アマゾンで注文した商品の受け取りは、もっぱらコンビニ留めにしている闇生なのであるが。
自宅最寄りのコンビニはセブンなのであーる。
知っての通り、セブンではアマゾンの取り扱いをしていないわけであり。
よって、通販の受け取りのときのみ自転車で三分ほどのローソンにまで足をのばしている次第だ。
となるとその自宅最寄りのローソンの利用頻度は、月に一度あるかないかという具合なのだが……。
本日そのローソンで、なつかしい調子の売り口上を耳にしたのである。
はて、
と思ってその店員を見ると、かつて自宅最寄りのセブンにいた店長さんではないか。
いや、実際は店長ではなかったらしいのだが。
ともかく、なんの変哲もない、良くも悪くもなく、地味で、堅実な、フツーのセブンの空気が、彼の登場によってがらりとポジティヴになったことは、かつてこのブログでも書いたことがあった。
その記事と重複してしまうが、彼、根は暗〜いお方だと思うのだ。
素の目つきは、するどく冷たいし。
で、
なおかつ年齢の割には頭髪が、
なんといおうか、
すまん、
風前のともしびと言おうか。
すまん。すまん。
それでいて諦めがつかないらしく、生き残りを人一倍過保護に育てっぱなしにすることで、喪失面積を埋め合わそうとしている。
そんな、頭部で繰り広げられている必死の現場に、彼と対峙する客のことごとくが、思わず視線を吸い寄せられてしまうのを懸命に堪えることになっている。
と思う。
絶対に。
そして、それをきっと彼はコンプレックスとして重く抱え込んでいるであろうと、他者に心ひそかに決めつけさせる暗さがあったのだ。当初は。
それが、何の切っ掛けか、がらりと自分を変えたらしいのだ。
率先してムードメーカーを担当しはじめたのである。
それはもう一夜あけたらスイッチが入ったかのようで、あたしゃそれを店長就任による責任感のためと解釈したのだな。
バイトたちには売り口上を常にさせて沈黙を払拭し、
誰かが声をあげれば、それに呼応してコール&レスポンスのように商品を薦める口上をする。
それによって耳障りなバイト女子たちによる客の噂話や世間話、雑談が消えたのだ。
新人バイトへの教え方も、その教える姿もまた客が見ているという意識をもって接しているのがわかった。
ちょっと工夫するだけで仕事がおもしろくなる、そんな楽しみ方も教えていた。
いままで無表情に作業をこなしていたバイト達のことごとくか、ちょっとほころんでいる感じになった。
あたしゃ心密かに尊敬したよ。
して、その敬意は、彼が店を去ったあとに深まっちまった。
なんと、その店がまたフツーのセブンに戻ってしまったのであーる。
まあ、あれほどのお人だ、ついに自分の店を持ったか。
あるいは栄転か。
もしくは転職かはしらんが、何処へ行っても通用するだろうと思っていたのである。
それが今、セブンから数百メートルしか離れていないローソンで働いているとは。
そのローソンも、よくあるローソンで。
テキパキと事務的にレジをこなすパート女史と、明るくも暗くもない無表情のバイトたちがやりくりしている店で。
この日も店長だか、本社からのスタッフだか、それらしき人たちがいたが、その人たちも、別に親切でも不親切でもない。
そんななか、棚だしをしている彼だけが、ひとりサンタの赤い帽子をかぶって、またあの売り口上をしていた。
おそらく他の店員もしているのだろうが、抑揚もないので、耳に入って来ないのだろう。
楽しみなのは、また彼がこの店を変えるかもしれないという、そこ。
しかし、すげえと思うよ。
私服に着替えて帰っていくその姿は、ほんと、暗いんだわ。
ちょっと怖さすらあるくらい。
しかしまあ、なんでまたローソンに。
セブンを見限ったのか。
はたまたセブンが捨てたのか。
☾☀闇生☆☽