壁の言の葉

unlucky hero your key


 世界は、案外とおもしろい。
 らしい。
 けどそれをおもしろがりつづけるには、心がけがいる。
 らしい。
 大切なのはその心がけを日々平然と更新しつづける執拗さ。
 に違いない。
 ウイルスの更新もまた執拗なのだから。
 だもんで有体に言って相当にめんどくさいのであーる。
 生きるはめんどくさいのだ。
 合理的でない。
 その意味において、死刑に疑問を持つことがある。
 隔離し、情報と接触を断って、ただ生存させる。
 させられる。
 生存してはいるものの、生きてはいない。
 世界をおもしろがらせてもらえない。
 楽ちんだが、生きさせてもらえない状態。
 合理的に生かされるだけの、死よりもつらい状況。
 それでも人っつーものは、
 供給される食事に、
 その食器の形や汚れに、
 壁の向こうの看守の足音に、
 日光の陰りや風の音に、愉しみを見出そうとする。
 だからそれも出来る限り、遮断する。
 愉しませない。
 面白がらせない。
 生きさせない。
 俗にそれを「楽にしてやる」と言うことがあるが。  
 となると、死刑は最高刑ではなくなるはずで。
 ある意味、情けですらあるわけで。
 最も合理的な楽ちんは、死であるわけで。
  
  
 
 







 その「めんどくさい」に感謝を。
 ありがたく頂戴すべし。




 ☾☀闇生☆☽