毎年きまってGW過ぎたあたりの夏日に、風邪のようなものをひく。
のような、としたのは、どうも風邪ともちがうようで。
あるいは熱中症なのかもしれない。
八度を超える熱と、悪寒、頭痛。
今回はそれにくわえて喉もやっているから、やっぱり風邪なのだろうけれど。
まあそれくらいなら、ケービの任務ならば無理をすれば済む。
けれど、いまの作業員としての現場は別だ。
やめといたほうがいい、あかんあかん、と身体が叫ぶので、今日は大事をとった。
重機が行き来する通路に敷かれた鉄板と、その下のセグメントと呼ばれるトンネル外殻の隙間での作業が続いている。
その隙間の一部はわずか40センチにも満たず、なおかつ溜まって腐った漏水と、こころない作業員たちのおしっこがあいまって、ただならぬことになっているわけ。
ふとパンドラの匣を思うような、この世のありとあらゆる醜悪が実体化しているような場所なわけ。
なので、カッパを着こんで作業にあたっているのだが、きっとそれがいけなかったのに違いない。
信じられないくらいの汗をかいたよ。
してその醜悪がゆえなのか、
あるいはその隙間に入れる体型があたしだけだからなのか、
よくわからんが、社員さんたちは滅多に近づこうとしないエリアなのであーる。
日がな一日、あたしゃひとりぼっちでそこで喘いでいるのだ。
倒れたら、誰が気付くというのだ。アウトだろう。
して、その汗だくのまま凍結エリアにもいくものだから、まああれだ。身体がついていけなかったというんだろうな。この度は。
考えてみればそもそもの話、作業員としての契約ではないはずなのだ。
あたくしの場合作業に関しては、いわばボランティアだ。
よって作業中の事故は、任務外なので補償されんかもしれんのだな。
なのにそれを当然のこととして指示するようになっているから、よろしくないんだな。
ねぎらいの言葉ひとつないもの。
世の「積極的に動けば馬鹿を観る」という社風はそうやってできあがるのだろう。
好きでやっているんだから、やってもらおうという傲慢な解釈。
逆にいえば「言われなければやらない」奴というのは、そういう風潮が土壌にあるわけね。
ならば無理する義理もあるまいと、そういう判断で休んだわけ。
毎日ボランティアで貢献してるんだ。
そこはひとつふてぶてしくいかせてもらう。
朝になると熱は引く。
けれど夜になればまたぶりかえす。
これを五六日は繰り返すことでしょう。
☾☀闇生☆☽