壁の言の葉

unlucky hero your key


 出稼ぎのいなかっぺ作業員たちの大多数は、現場でところかまわずションベンをするらしい。
 いや、していたよ。現に。目の前で。
 水が流れていれば、ともかくもションベンだ。
 で痰だ。
 缶コーヒーやらカップラーメンの残り汁廃棄だ。
 その腐りきったみずのなかで作業をする人がいるという想像力が、連中は欠落している。
 ここでは、
 出身地はともかく、その想像力の欠如を指して田舎っぺと言わせていただこう。
 弁当のゴミも平気で現場に捨てていくのね。連中は。
 くそったれ、とはこのことだ。
 高所から転落して悶絶するあたしを見て、彼らは騒ぎはしたが、助けはしなかった。
 同類のいなかっぺとして好意的に見ていたが、それでもう見限った次第であーる。
 なんだあいつら。
 都市土木に対して山土木と揶揄されることを御存知だろうか。
 そんなこんなの窮屈な便槽のごとき空間での作業が続いているのだが。
 セグメントのサビ水と、連中の汚水が流れる高さ五十センチほどの空間で、喘いでいる日々であーる。
 思うに、なにゆえトイレでしない?
 猿かてめえら、と。
 前を掴んであらわれて、あたしがそこに居ると知るや、いさいそと引き返すその反省猿がごとき矮小さ。
 この現場、今週は中学生の見学もあったのにねえ。
 だいじょぷか? ヤマザルら。
 
 
 



 自発的に、
 そして積極的に動けば動くほど、頑張れば頑張るほど馬鹿をみるのが派遣という罰ゲーム。
 意を決してそれをやれば、当たり前と、好きでやってると解釈される。
 ねぎらいの言葉すらない。
 




 ね、
 わかるだろ?
 人間なんてどれほどのものでもないのよ。

 

 

 ☾☀闇生☆☽