壁の言の葉

unlucky hero your key


 仕事の現場で、
 人当たりが急に優しくなった方が何人かおられて。
 彼は何事か忠告をするときに、さりげなく、
「気分を悪くしたらごめんね」
 言い添えるようになった。
 

 実際、現場の統括者であるからして、
 文字の通り上から目線であっていい位置なのだが。
 かててくわえて、事務的につんけんとしていたひとだけに、若い人からすれば丸くなった、と。そう見ることだろう。
 けどそれは精神的に、土俵際からの距離を勝ち得たのであって。
 目的への手段を、
 して、その選択肢を、増やしたのにすぎない。
 自由が増えた、と言い変えようか。
 自在に、のほうがいいのか。
 持ち駒が増えれば、瑣末なことに金銀飛車角を費やさないと。
 有体に言って、強くなったのだ。


 ちなみにあたくしの場合、
 これまで「くん」づけ&タメ口で接してきたある人たちが、唐突に「さん」づけ&敬語で接触してくることになっている。
 いやはや。
 ぱやぱや。 
 さては、認められたか。
 と思いきや、単に年齢がばれただけだったという。
 もしくは、急激に老けたのか。







 ぱやぱや。


 ☾☀闇生☆☽