壁の言の葉

unlucky hero your key


 ここのところAKB48の話題になる。
 例の総選挙なる興行の直後だもの。
 どうしたって、なる。
 あたしゃそういうのにまったくもってうといもので。
 けど、
 であるからこそ、せめて検索くらいは簡単にすませておこうと考える健気さくらいは持っているのだった。
 で、
 まあ、
 門外漢なりに感じたことをそのまま口にしてしまうという無神経さも、持ち合わせているわけで。
 

「あの一番大きいコってさ」


 と、メンバーご一同の集合写真を思い出して、ついのたまってしまったのだった。
 

「ひとりだけ目だってるじゃん。
 というか、
 なんというか彼女だけオトナの体をしているけど、年齢制限はないの?」


 表現がやけにいやらしくて、すまぬ。
 それもまた持って生まれたものであるからして、勘弁されたし。
 それはそうと、
 訊かれた若者は困惑してしまったのだ。無理も無いが。
 あれこれ名前をあげては、それって〇〇ちゃんのことですか? と画像を検索してくれる。
「いや違う。このコじゃない」
「んじゃ、このコですか。けっこう大きいっすよ」
「うんにゃ、もっともっと」
「もっと? そんな爆乳、いましたっけ? AKBに」
 そこでようやく『大きい』の解釈ちがいに気づくエロ屋の二人なのであった。
 あたしゃタッパのことを言っていた。
 ガタイと言おうか。
 ひとりだけあの弾けたコスチュームには似合わない。どちらかというとボンデージの似合いそうな人が目に付いて。その対比からほかのメンバーが幼く見えてしまったのだ。
 だもんで、気になったと。年齢制限がね。
 けど、訊かれた同僚はというと、大きさといったら一も二もなくおチチと思い込んでいたわけ。
 そうと知って興ざめする同僚の、あのしおったれた表情ったらなかった。


 すまぬ。


 君ほどそこには固執はしていないのだよ。あたしゃ。
 執着はいかん。
 依存のもとだぞと、精いっぱい強がることにしているのだ。
 第一おチチなんてものは、
 体格をふくめた人物全体とのバランス関係に成立するのであり、
 年齢、
 性格、
 感受性、
 仕草、
 声、
 表情といったキャラとの相互作用もあいまって、
 その瞬間、瞬間に導き出される正解ともいうべき絶妙な風合いこそが、
 おチチのおチチたる在りかたであり。
 美学であり。
 とどのつまりが、道なのだと。
 正解はあって無いようなもので。
 ぶれたい時にはぶれるがよいと。
 大いにぶれろと。
 むしろ奔放にぶれ続けるというぶれ無さをこそ保てと。 
 大きけりゃいいってもんではないのだっ。




 ……という力説ほどキモイものは無い。


 
  
 その昔、
 後輩にすすめられてプレステのFF7をプレイしたことがある。
 ゲームを開始して数日後、その後輩にしたり顔でこう言われたものである。


「ティファ、でかいすよね」


 つっても、プレステ1の時代である。
 あのデフォルメ頭身で、誰が巨乳かなんて意識しないっつの。
 感心したよ。
 おまえらすげえな、と。
 その、たった一筋の谷間の曲線に費やされたわずかなドットのひとつぶひとつぶを、いったいどんだけのカロリー燃焼させて見つめてんだろかと。
 さぞかしグラマー冥利に、
 もとい、プログラマー冥利につきることだろう。


 




 とはいえ、
 目の前に現われれば、
 さすがに視線のやり場にこまる。












 ☾☀闇生☆☽
 
 
 今回は、わるい癖が出た。