ひょっこりできた休日を使って、朝から家賃の更新に出かける。
せっかくなので、ついでにどこかをぶらぶらしようと企んだ。
企みついでに何年かぶりにマックで食事を済ませる。
なんかテキトーに頼んだセットのドリンクをホットにしてもらって、ナゲットを追加した。
あたしゃ性分として、ああいった店に長居ができない。
回転が命だろうにと、つい店側を思いやってしまうのだ。
けどこの日はずうずうしく行こうと、決意したのだな。
べつにファストフードにそこまで勇気をしぼるものでもないのだろうが、食後に居座って読みかけの本を進めたった。
どーだい。
ゆとりある大人ではないでしょーか。
でしばしまどろんだわけなのだが、
まもなく店が混んできたのでやっぱり気を遣ってそこをあとにしてしまうことになると。
しょーもなっ。
隣の席でホスト風の男子がキャバっぽい女子を面接していたのも、煩かったし。
それがやたらはしゃいだノリだったし。
男は頻繁に席を立ってケータイでどこかに連絡をとったりして、
で女はその度にあわただしくメイクを直して、
とりあえずあれだ。
忙しそうだったよ。
さて、
どこ行こか。
となると映画くらいしか思い浮かばない甲斐性なしが、この闇生なのであーる。
んが、
んが、
それはそれで上映スケジュールと込み具合が気になってしまうわけで。
そういう気分でもなかった。
今日ばかりは時計を気にせず、ぶらぶらをぶらぶらたらしめるところはないものかと考えた。
いや、
考えるまでもなくこの日の曇天が思い出させてくれたのだ。
そうだ西荻に行こう。
とくればあたしの場合、言わずと知れたニヒル牛のことになる。
元たまの石川浩司プロデュースによる、市井の表現者のためのレンタルボックスであーる。
そこにその店があるから、西荻に降りる。
それはなぜかしらいつも曇天の日でもあるのだ。
時計を気にせず、
程よく静かで、
居づらくもなく、
いわずもがな心地よくて、
いつも何かしら発見させてくれる空間なのだな。あの店は。
と同時に、あの町がやはり好きなのだ。あたしゃ。
たまんない。
あの風情ったらないよ。
なんとなく入った路地先に見つけた公衆トイレ。
その壁画にやられちゃったりするんだ。これが。
ましてや石川浩司似だったりもして。
で、
まずは一号店。
今回は阿部未来(アベミキ)という陶芸作家の作品をゲット。
ひと目惚れだね。
正直な話、この日の闇生は懐事情が芳しくなかった。
なのでこのうち一体だけを購入しようと考えた。
けどさ、
どう見たってこの妖しい目配せからすれば『ひと組』でしょが。
離れ離れにはできっこないでしょが。
などと店内でひとり悶えるようにして悩んだ挙句、結局南極二体とも連れ帰ったという次第である。
そうするほかなかったの。
併せて6,300円也。
晩酌はお預けだ。
胸張ってお預けしたるわい。
けど、どうするよ。
どこに飾るよ。
せめて、
も少し広いとこには住めないものかと。更新日に思ふ。
ともかく、
そんなあたしの長い逡巡を、微塵も邪魔しなかった店員さんにサンクスだろう。
この日は男の人。彼が島田さんか。
んで、
店を出て二号店に向かったのだが、あいにくと定休日(木曜)でござった。
ううむ。残念。
なので、その先にある西荻の名所ケヤキの大木を拝むことに。
樹の回りが整地されて公園になっていたが、なんでも地元の有志が声をそろえて樹の保存を訴えた成果であるという。
まだ地面は裸同然で寂しいかぎりではあるのだけれど、ここに雑草が生えそろえば、またひとつお気に入りの場所となりそう。
目の前に素朴なカフェがあるのもいい感じだし。
次は二号店にも、必ず。
☾☀闇生☆☽
あ。
店内BGMが何なのか、訊きそびれてしまった。
契約作家さんの手によるものだろうが。
あの音量も絶妙なのだな。うん。
聴こうと思えば聴こえてきて、
無視しようと思えば、意識の遠くでそれとなしに鳴っているという。
で、
時折店員さんの打つキーボードの音だけがカタカタと、して。