姫っ。
どうか自殺は思いとどまりくださいませ。
もう二度とドングリなどの無理強いはいたしませぬゆえっ。
っと耳して、
おもわず噴いた。
一服休憩に足を運んだ丘の上の公園。
その芝の傾斜で、段ボールをソリにして遊んでいる女子小学生の一団が、そんなことを叫んでいる。
どこで覚えんたんじゃ、そんな言葉。
で、なにごっこなんだか。
ドングリを強いられて自決に踏み切ろうとする姫の設定が知りたい。
でこちらは、そんなあたしの昼食を狙いに来た地元の猫。
別の一角で、与えられたキャットフードをむさぼっておったくせに。それを途中でおっぽらかしてあたしのおにぎりの具合を偵察にきたところ。
ケーピ員が、派遣先で野良猫の餌付けをするわけにゃいかんのよ。
ましてや、あんたキャットフード食い散らかしたまんまじゃんか。
二兎追うものはなんとやらって言うぜ。
無視していたら、遠巻きにこちらを見つめつつ通り過ぎて消えた。
んが、
ふと気配に気づいて振り向けば、そこにまたあの猫。
ベンチの背もたれと腰かけの隙間から、あたしのゆで卵を狙って鼻をひくひくさせて。
もおお。
お姫さまであっても、ドングリを無理強いされるご時世なのだぞ。
おまえ、贅沢じゃ。
☾☀闇生☆☽