壁の言の葉

unlucky hero your key


 友好?
 いったいそれはどこまで踏み込みあうことなの。
 分かり合う、
 と一口に言ったって節度と距離感を保たねば、結局のところ形を変えた『同化』をやらかすだけではないのか。
 二の舞。
 たとえ同胞であっても、
 完全には理解しあえないものだ。
 して、
 そういうものと踏まえるのが、分別というやつである。
 相手への敬意でもある。
 もとより私的にではなく、
 個人として、
 ひいては公的なお付き合いをしようというのだ。
 究極のところ、
 この分かりあえなさを分かり合う。
 分かち合う。
 そこに『友情』はあるんでないの?
 単に『付き合い』と言いなおそうか。
 馴れ合いや同化を目指しちゃいかん。
 主義化するな。



 抱擁と掴み合いとは、
 その実、紙一重なのだ。
 愛。
 なんてものがもしあるならば……、
 どうやらあるらしいのだが、
 本来はその肩身の狭い紙一重のはざまで、
 つまり、程よい距離感の風通しの中で、
 密かに回転しているもので。
 それは早く、強まるほどに、
 熱を帯びて静まっていくコマのように。






「ぼくの傷を見るなよ ぼくにあやまるなよ
 ぼくの傷を見るなよ ぼくにあやまるなよ
 あったかい クリームシチューを食べよう」
 by 糸井重里作詞/矢野顕子作曲『クリームシチュー』
 
 




 
☾☀闇生☆☽


 愛、とはまた柄にも無いことをのたまった。
 優しさ、と言いなおしたところで、やっぱ照れるしな。
 料簡。
 節度……。
 ううむ。