壁の言の葉

unlucky hero your key


 どうやら、風邪については、ひと段落ついたらしい。
 昨日の勤務中にふと、抜けた感があったもんで。
 汗と、
 しょんべんと、
 無理気味の車両誘導のストレス共にね。


 ところで今日は本業エロ屋。
 んで明日はバイトのケービ。
 またしても雨になるらしく。
 正直、休みたい。
 でも、休めない。
 休まずに風邪をやり過ごしたことについては、このまま内緒にする所存なのだが。
 たとえ元気であっても、明日のは心の磨り減る現場だもんで。
 駐車場とその出入りに伴う歩行者の誘導である。
 こないだなんか、凹んだ。凹んだ。
 ただでさえ歩行者や自転車の動きを読むのはやっかいだのに。
 されど、
 いうまでもなく原則的には優先しなくてはならんわけで。
 あたくしひとりで出と入りの車を制止して、
 そのうえで歩行者に安心して通過していただくと。 
 そこは小学校の通学路でもある。よって子供たちが途切れるまでどうしても車にはお待ちいただくことになる。
 おまけに路線バスの経路でもあるからして、それらの通過を優先させたり、なんだりとまあいろいろと注意点があるわけ。
 車の出入りもあれだもの、
 入庫側が大回りして出庫側車列に接近せざるをえない環境なので、両方をいっぺん動かすのは危険だと。


 そこで先週、こんなことがあった。


 待たせていた入庫側の車が、歩行者の途切れるのを待たずに歩道に乗り上げた。
 仲間があわてて車の前に立ちはだかって制止した。
 それによほど神経をさかなでられたのに違いない。
 まもなく進めの合図を出したのだが、あれだけ急いでいたはずがどうしたわけかケービの前に横付けするではないの。
 してその、人生の折返し点を過ぎたと思しき女性ドライバーは、サイドウィンドー越しに目を見開くや、口を読ませんばかりにして、こう吼えたのだ。


「ばーか!ばーか!ばーか!」


 この年になってはもう滅多なことでは鉢合わせることのない、シンプル極まりない罵倒であーる。
 彼女は、消費されないカロリーを横溢させた豊満なるその顔面を、憎悪の限りに躍動させ、咆哮したのであーる。
 助手席にはその母親と思しき気品のいいご婦人が、ちんまりと、いらした。
 世間体としては、親孝行の態だろうに。
 けどあれだ、
「人間とは多面体であって〜♪」
 イルカを保護した同じ手で、便所の壁に嫌いな女の電話番号を書いて…(松尾スズキ『キレイ』より)。
 そこまでして、
 つまりが、小学生の行列を無理に突っ切って、出庫側の車も後回しにさせて、オレがオレがと。ものの数十秒の差を稼いででも、ポイント●倍にありつきたいのだと。
 食い物、安くゲットしたいのだと。
 逃げないし、食いもん。
 制止しているあいだずっとクラクションを鳴らしているおじいさんもいたなあ。
 いったいあれ、何を急いでいるのだろう。
 自宅が火事なのか。
 うんこ、出かかってんのか。
 一見、運転席から前方ががら空きに見えても、バスが路上駐車を大きく避けて逆車線を接近中だとか。車道を自転車の集団が猛スピードで近づいているとか。車椅子の方の通過を待っているとか。何かしら理由があるから、止めているのね。あたしらは。
 ケービだって、一刻もはやく車列を流してすっきりしたいのだよ。


 

 とまあ、
 否定的な気分を引きずって仕事に挑むと、それは悪いほうに連鎖する。
 昨夜の細野さんの、シャイネスでファンキーなベースを繰り返し浴びて、酔って、しびれてから、眠ろう。
 







 ☾☀闇生☆☽


 ここ数日の棚ぼたアクセス。
 おさまって、やっと等身大にもどったね。
 ありがたいが、
 すまない感のほうが大きかった。
 眠ろう。