自転車の帰り道、
i-podのプレイリスト『美奈子』を久方ぶりにクリック。
名盤『Twilight Zone』収録の「さよならSayJustGood-By」。
曲の大部分をファルセット中心の高音で歌いあげておきながら、結びの「さよなら」は得意の中低音に、ふと降りてきて。
つぶやくように三度繰り返される。
そこではっとなるのだ。
このおっさんたら。
不意に声をかけられたようで、振りかえりたくなるような。
その余韻を向井滋春のトロンボーン・ソロが引き継いで。
これがまた絶品す。
さながら『銀幕』時代の素敵な洋画のエンディングである。
甘く、
そしてほろ苦い。
などと、いったいどっちなんだと。甘いのか、苦いのか。
とどのつまりが、せつないのだと。
もとより、桜並木の帰り道をいく自転車のケービ員だもんで。
もんでもんで。
などとまどろんでいると、その不意を突いてたてつづけにやられちまうぞ。
『EXTREME BEAUTY』収録の「星の海」。
逝く友を送る、渾身のあれだ。
なんだ。
絶唱だ。
またしても圧倒されちまう。
これだから『美奈子』を御無沙汰にしちまうのね。
ながら聴きを許さないから、へろへろになる。
にしてもだ、
これほどの想いで送られるに値する人生って、どうよ。
あたくしなんか、それだけで、ただただあたまが下がりますよ。
そういえば、
高橋幸宏がポップス路線をやったアルバム『Once A Fool』というのがありまして。
そこに「昆虫記」という隠れた名曲があるのですな。
誰も隠しちゃいないはずだが、まあ、きっとそんな扱いがよろしかろうと。
この曲、作曲が細野晴臣。
作詞が、吉田美奈子。
で当然、ユキヒロが歌とアレンジその他もろもろと。
贅沢でしょ。
これの吉田美奈子の詩がよくてね。
前のセンテンスの語尾を伸ばして残った母音を、次の歌詞のあたまにつなげていたり。
暗闇の妖しさには、あの頃の細野さんと吉田美奈子のそれをよく反映しているし。
これ、
吉田美奈子自身が歌うバージョンが、無性に聴きたいのだわ。
ぜったい合うでしょう。
☾☀闇生☆☽