長野に嫁いでいる姉からりんごが届いた。
信州りんご。
箱で15個入りである。
毎年のことで、まことにもってありがたい。
けれど、贅沢をいうようだが、毎年のように困っているのだ。
そりゃあ最初のうちはいいさ。
滅多なことでは自分で果物を買うことがないから、それ自体が新鮮だし、むろん味もいいと。
割ってみれば蜜がたっぷりとたまって、琥珀のように輝いている。
でもどう考えても一日一個が限度だろう。
それが15個だ。
単純に考えて消費に半月も費やすことになる。
いや、毎日りんご一個をノルマとした食生活は、必ずと言っていいほど飽きが出てくるに違いない。
大きさからいって一個で十二分に腹を満たすから、一日一食抜いてまでりんごを摂らなくてはならない。
だもんできっと間が空いて、完全クリアまでひと月ほどもかかってしまうことだろう。
その頃の鮮度はといえば、水分もハリも大きく退いて、ぱふぱふ。
スポンジめいて。
そんなこんなで、半分をジャムにしてみたことがあった。
けど、考えてみれば、あたしゃ普段パンを食べないのだ。
哀しいことに、人生で初めて作ったりんごジャムは、冷蔵庫に隔離されたままその役目を終えてしまったぞと。
さて、今回はどうしようか。
ともかくも会社に一個持って行って、夕方のおやつとしている。
で、
夜食にまたひとつ。
おかげで驚異的な便通事情なのだが、それはともかく、先日の夕方だ。
いつも朝に挨拶を交わす隣の老夫婦。
その旦那さんが唐突に我が侘び住まいを訪ねてこられた。
「あのお、長野の親戚からりんごが送られてきまして…、よかったら」
四つ増えた。
りんごはいらんかえ〜♪
☾☀闇生☆☽