壁の言の葉

unlucky hero your key

Yamio2009-12-12
 長野に嫁いでいる姉からりんごが届いた。
 信州りんご。
 箱で15個入りである。
 毎年のことで、まことにもってありがたい。
 けれど、贅沢をいうようだが、毎年のように困っているのだ。
 そりゃあ最初のうちはいいさ。
 滅多なことでは自分で果物を買うことがないから、それ自体が新鮮だし、むろん味もいいと。
 割ってみれば蜜がたっぷりとたまって、琥珀のように輝いている。
 でもどう考えても一日一個が限度だろう。
 それが15個だ。
 単純に考えて消費に半月も費やすことになる。
 いや、毎日りんご一個をノルマとした食生活は、必ずと言っていいほど飽きが出てくるに違いない。
 大きさからいって一個で十二分に腹を満たすから、一日一食抜いてまでりんごを摂らなくてはならない。
 だもんできっと間が空いて、完全クリアまでひと月ほどもかかってしまうことだろう。
 その頃の鮮度はといえば、水分もハリも大きく退いて、ぱふぱふ
 スポンジめいて。
 そんなこんなで、半分をジャムにしてみたことがあった。
 けど、考えてみれば、あたしゃ普段パンを食べないのだ。
 哀しいことに、人生で初めて作ったりんごジャムは、冷蔵庫に隔離されたままその役目を終えてしまったぞと。


 さて、今回はどうしようか。
 ともかくも会社に一個持って行って、夕方のおやつとしている。
 で、
 夜食にまたひとつ。
 おかげで驚異的な便通事情なのだが、それはともかく、先日の夕方だ。
 いつも朝に挨拶を交わす隣の老夫婦。
 その旦那さんが唐突に我が侘び住まいを訪ねてこられた。
「あのお、長野の親戚からりんごが送られてきまして…、よかったら」




 四つ増えた。








 りんごはいらんかえ〜♪


 ☾☀闇生☆☽