壁の言の葉

unlucky hero your key


 あ、もう駄目。
 腕、あがらんぞ。
 筋肉ぱんぱんだぞ。
 シャンプーはおろか、歯磨きだってできん。
 本日も昨日と同じ現場でござった。
 とある街道の片道交互通行。
 して、
 またしても昼休みなし。
 それは業者さんたちにとっての不測の事態でもあるし、またあそこまで交通量が多いと、休憩やションベンはおろかジュースを口にするマすらないのだから仕方がないのだが、いかんせん腕が、そして肩が、ぎうぎうに悲鳴をあげちゃっておるわけでえ。
 なんだろ、
 とどりつまりが、きつかったと。
 その代わりといっちゃなんだが、昨日は予定より一時間早く上がれたし、今日なんかは二時間も早く上がらせていただけた。
 それでも現場監督さんは、コブクロのギター似の笑顔でもって重ねがさねに謝ってくれるのだから、ありがたい。
 あの低姿勢は、こちらを年配とみるがゆえのことかも。
 どんな風に見えてんだろか。
 心、折れちゃった? ってくらいダウナーなバディと、俺。
 でもここはコブクロって感じじゃねーよな。 


 カネが欲しくて
 働いて
 眠るだけ…♪


 いいことばかりは、ありゃしない〜♪ と口ずさんだわけさ。
 排ガスを浴びながら、清志郎を真似てね。
 はて、いいことって、何?
 あ、そうそう。
 本日も宮崎監督に遭遇しました。
 同じ時間帯だったから、あれはきっと出勤なのだろうか。
 なのだろう。
 いっそ轢かれたろかと。
 そんなアホな幕の引き方もまた、合理的かと、
 











 思わんが、


 作品を通してやらかしてくれた、不肖闇生の感受性への数々の仕打ちやら愛撫やらを思うと、なんとまあ、遠いことかとね。
 敬礼で送りつつ、両のマナコに込めた万感の思いでもって、フロントガラスを撃ち抜いたったわ。








 さすがにもみじマークは付けていませんでした。



 ☾☀闇生☆☽