壁の言の葉

unlucky hero your key

 

 本日で、我が担当店は撤退作業もほぼ終了。
 あとは業者まかせである。
 前職からの十年近くの付き合いだったバイト君ともお別れ。
 自発的なコンタクトはむろんのこと、業務連絡メールにすら返信しなかったヤツなので、ひょっとしたらこれっきりになるだろう。
 帰りの電車も同じ方向ながら、取ってつけたようなようじを付けて、去って行った。
 んが、
 お互いにこれから職探しである。
 最終的な受け皿と考えていた警備員のバイト。
 今日、電話で面接を希望しておいたが、応対にうんざりしているような感触だった。
「またかよ」
 そんなゲップのような生々しい食傷感をぶっかけられたのさ。
 

 げんなり。


 微塵もウェルカム臭がないのだ。
 ああそうですか。
 おひょひょひょひょひょ。
 と欽ちゃんばしりでムーンウォーク。
 いいんだ、いいんだ。
 ICE国岡さんが、ようやっと復活を公言なされたのだ。
 そうなのだ。したのだ。
 その前向きをおすそ分けにしてもらって、笑っていよう。
 

 店から商品が次第に消えて、
 その片付け作業で汚れて、すさんで、
 最後には伽藍としている、その空しさったらないぜ。
 常連さんがおひとり訪れて、記念に店内を撮影させてくれと。
 そんなものかと。
 最後に照明を落として、闇に散った勤労の記憶。
 鍵かけて、
 振りかえらないようにと、背を向ける。
 たかがエロDVD屋でござる。
 たかだかそんな身の丈の時間でござった。
 すまん。
 もろもろ、すまん。
 あんど、感謝。




 ☾☀闇生☆☽