壁の言の葉

unlucky hero your key


 ゴミと化していたアダルトグッズの売れ残りを、バックヤードから発掘。
 いったいいつの時代の代物なのか。
 なんかラムちゃんぽいコスプレ衣装やら、
 商品名にやたらと『ギャル』がついていたり。
 見つけ次第にどんどん切り刻んで半透明袋にダンクしていくのだ。
 こんな作業のときはやはり、俗にツツモノ(筒物)と呼ばれるホール系で盛り上がる。
 『特殊シリコン』だなどと謳っているだけあって、いまでも弾性を保っているところは見上げたものだよ屋根やのふんどし。
 ぷにんぷにんしているもん。
 気持ち良さそう〜♪
 ぐにょんぐにょんのでろんでろんしてもいて。
 いい気になってそいつをヌンチャクよろしく振り回していると、手が異様な臭いにおかされているではないの。
 くせええ。
 まったくもって不届きな奴。
 しかも時の重みに耐えかねて溶け始めているのまである。
 なんかね、
 もおね、
 あのチクワみたいな見てくれが、どろどろに崩れて、HRギーガー作のクリーチャーみたい。
 ふてえ野郎っ。
 成敗してくれるわ。
 とばかりにハサミで切り刻む。
 一転、猟奇殺人犯になりすます。
 これがまたいい切り心地でね。
 不意を突いて壁に投げつけると、
 って誰の不意を突いたのかしらんが、しばしそこに貼りついて悶えている。
 クリーチャーめ。
 お鍋にしてポン酢でトゥルトゥルっといただきたい。


 処女のまま葬って、ほんとごめんよ。


 むろんバイヴ系もあった。
 電池を入れて、
 作動させて、
 その振動を、
 くねり具合を、
 この手で確かめて、
 じっと見つめて、
 しばし感心。
「ほおお」
 なるほどお、と。
 それも束の間、十手に見立ててふざけ出す。
 御用だ、御用だっ。
 神妙にしろいっ。
 ヴイィィィィイイン…。


 清らかに、
 DTのままに、逝くがよい。
 

 今やなつかしい浮き輪のような材質のダッチワイフ。
 さすがに時代ものだ。
 これはねえよ。
 と腹を抱えつつ、膨らませてみる。
 綾波っぽいヘアスタイルのイラストなのだが、唇と乳首が抜けている。
 なんとそこだけ付属のイラストシールを貼りつけるようになっていた。
 すっけすけの安っぽい下着がついていて。
 このやっつけ加減が、せつねえ。
 なんて哀しいんだ。おまえたち。
 オスのために作られて、
 使われずに去っていく。
 なんて罪深いんだろか。オスたちってば。 
 オマケに盗聴テープなるものがついていて。
 カセットテープである。
 資産家の令嬢の秘め事を収録だと。
 なんだろか、この設定の見くびり感は。
 オスの見くびられ感は。
 これを聴きながら、せいぜい励めってか。
 散華しろってか。








 ありがたし。
 



 まんまとルアーにひっかかる、魚の気持ちになってみる。 
 あそうか。
 デジカメ持ってれば、こういうときアップできるのですなあ。






 ☾☀闇生☆☽