ちりちりと、
 夏が逝くのです。
 はい。
 それを惜しんでちりちりと、
 虫が泣くのです。
 ええ。
 日が沈んで、
 どこか近所でピアノを練習する音。
 一本指で、ころんころんと、記憶をたどるように爪弾くその風情。
 ひんやりした風。


 Fenneszが聴きたくなりまして。
 

 傑作『Endless Summer』と『Venice』のジャケを睨みつつ、虫の声を聴き続けている次第。
 耳の底でね、ちりちりいっとるのです。
 気がつけば発売からもう数年が経っている。
 そもそも音楽に新しさを求めないことにしているので、こういうかつての最新のジャンルは、月日が経つほどに露わになってくる本質をおもしろがることになるのだ。
 などとえらそーにのたまいつつ。
 およそウォーキングにはそぐわない、こんな美しいノイズの森の底を、あえてそんなコースに選ぼうかとたくらんでいるわけ。
 これぞメロディーでござい、
 コードでござい、
 ピートでございってのが、ちょっとうるさくなるときがありまして。
 わかります?
 テレビを消して、
 パソコンを切って、
 ケータイをオフして、
 会話を止めて、
 で、
 ひとりになりたいような。
 けど一緒にいたいような。
 








 時間の濃度なんてものは、
 情報量に比例しないもんなんだぜ。
 

 


 ☾☀闇生☆☽