むくむくとのびあがる夏の雲というのは、気持ちのいいもので。
 下界で大人たちが暑さや世知辛さに顔をゆがめて行きかおうが、お構いなしだ。
 歩道にビニールプールを持ち出して、幼稚園の女の子たちが水浴びをしていたよ。
 着衣のまま、
 先生にホースで水をかけられて、
 いや、
 かけられたがって上げるその叫びは、微塵も抑制されておらず。それだけに、ことのほか夏の空に映えて。
 で、沁みて。
 公園や、川辺に彼らのはしゃぐ姿がないなんて、想像するだにさびしいものだが、わが故郷では年々そうなりつつあるという。


 子供のころ、夏といえば地域(部落)対抗のソフトボール大会であった。
 (野球ではなく、ソフトボールの盛んな土地柄なのだ)
 毎日のように河川敷のグラウンドで練習をした。
 あたしが籍をおいた地域は、子供の数がチームをつくるには足りず、そのため隣接する地域を寄せ集めてどうにか体裁をたもつという連合軍。
 となれば、チームメイト同士、普段からあまり遊ばない間柄であるからして、休憩中は地域ごとに分かれてしまってついに会話らしい会話すらなかったが、それでも毎年優勝にからむ活躍をしたものだった。
 それが、ここ数年はすっかりすたれているという。
 なんでも、面倒を見ようと名乗り出る大人がいないのだという。
 それでなくても、子供たちが外で遊ぶのを見かけなくなってもいて。
 案の定、大人も子供も個人主義にかまけているわけだが、不肖闇生もご多分にもれず、他人のことをいえた立場にはない。
 でありながら、ありきたりだが、寂しさを感じずにはおれないのだ。


 して、
 夕刻からのどしゃぶりには、胸がすく思いがした。
 このコントラストこそが夏である。
 そうそう、
 jazzに目覚めたのも、実はこんな夏の風情がもとであった。
 それまでも、名作ドキュメントフィルム『真夏の夜のジャズ』などにほろ酔いして、ぼんやりと愉しんではいたのだが、惚れたきっかけはこんな夕立ちだ。
 それはレンタルビデオ店に勤務していたころで、あたしゃ他店のヘルプとしてひとりぼっちで店番をしていた。
 なんせ暇でね。
 そのとき流れていたのがジョン・コルトレーンの名盤『ブルー・トレイン』。
 それまではベタに、ジャズを都会の夜のイメージに決めつけて聴いていたものだ。
 んが、
 このとき突然に外は土砂降りに。
 雷鳴と、
 滝のような真昼の雨。
 ガラスの向こうのその光景が、スマートでアップテンポの「モーメンツ・ノーティス」にはまってしまったのだからたまらない。
 その店のスピーカーが、とりわけベースを唸らせるしろものだったのも、運であった。
 しびれたね。
 

 オチも考えずに、思うままに書いている。


 最近は読書を心がけているので、できるだけiPODにはお留守番を強いている。
 それでも、頭の中にはいつも音楽があって。
 ここ数日鳴っているのは、これ。
 ICEの『Speak Low』の「Blue Moon」。
 何日か前に見上げたお月さまが、呼び水となって、引き出してくれた。
 もお、夏を裂いてびゅんびゅんいくぜ。
 このアルバムは「SONGBIRD(Flyin')」がつらくてね。
 しかも名曲だもんで。
 ひりひりする。
 今となっては意味深なジャケットでもあるし。
 けど、これもまた夏です。
 夏なんです。
 


 あそうそう。
 小説の公募に出しておいた拙作。
 結果がでましたわ。
 むろん、箸にも棒にもかからんのですが。
 なんであれ、縁もゆかりもない人からコメントをいただいたのは初めてでして。
「あまりに散文的すぎる。
 もっとキャラ設定とストーリーに力点を」
 とはいえ、お言葉を頂いたら頂いたで、真意を勘ぐって考え込んでしまうありさまと。




 
 ☾☀闇生☆☽
 
 
 夏なんです。