蛙ばかりが鳴き騒いでいる真夜中、
 蚊に起こされる。
 すでに腕じゅうに刺されたあとがあった。
 くそぉ。
 はて、電子蚊取りをつかっていたはずだが、なにゆえ。
 あらためると、どうやら窓から流れ込む空気の向きが、就寝中に変わったらしい。
 なるほど、むき出しの両足は無傷で、風上の上半身のみが集中攻撃されたというわけか。


 風向きが変わるとはまさにこのこと。


 このあたりはもと田園地帯だったらしく、それが地名に色濃く残っていて、用水路の名残りがそこかしこにある。
 おそらくはその所為なのだな。蚊の発生は。
 こしゃくなやつ。
 などと思ってしまったから、目が冴えてしまった。
 風と蚊取りの配置を考えていたら、にっちもさっちもいかなくなって、ええいままよとばかりにサンダルを突っかけてコンビニへと向かったのであーる。
 イージス艦を追加配備する所存である。

 
 帰宅し、
 YoutubeQueen+Paul Rogersのライヴ映像を漁る。
 劇画版『〜ナウシカ』の続きを読みふける。
 そこで唐突に、なんの脈略も無く思い出してしまったのだ。
 某遊園地の閉園イヴェントの告知を。
 たしか、帰りの電車の中吊り広告で見たのだった。
 そしてその会社が、ほんの数ヶ月前に社員の求人広告を出していたことをも。


 船の沈没を予知して大移動をはじめるねずみのごとくに、
 人間もまた、
 駄目だなこりゃ、と見限ると早々と下船を始める。
 しかし、そうはいっても沈没のその日まで航海は続けねばならんわけだ。
 一糸乱れず、粛々として帰港せねばならぬ。
 何度も述べているが、これがなかなか難しいのだな。
 ましてや、こんな時代だ。義理も人情もほころびていくばかり。
 巻き添えはごめんだと、駄目なチームほどいとも容易く雲散霧消するものなのだ。
 求人は、その殿(しんがり)戦の補充のためだろう。
 それを知らずに入社した人たちは、いったいどうなったのだろう。

 
 我が斜陽のエロDVD業界も同じで。
 大手の問屋がネットに求人広告を出している。
 明るい未来を匂わせて。
 先日、この会社の管理職と話したのだが、激務が割に合わないといって、若手がばんばん辞めていくのだそうだ。
 さもありなん。
 出張につぐ出張で日本中を駆け回り、されど給料は変わらず、数字も伸びず。
 若い人が先を悲観して船を降りるのも無理はない。
 そんなことだから経営陣が考えていた業務縮小のペースを、退職者数が追い越してしまったのにちがいない。
 だもんで、この不況に広告費を払ってまで求人しているからといって、上昇中かというとそうとも限らないわけ。で、こんなパターンもあるのだと考えると、ますます二の足を踏んでしまうのだが、まあそんな現実もあるぞと。


 

 夏の夜中に目覚めてコンビニへ行くと、ついついアイスバーを買ってしまう。
 それもファミリーパックのをね。
 あれ、あたしゃ駄目なんだわ。
 ちょっとずつ頂くという、そんなおぼっちゃまな食べ方ができないのだな。
 冷凍庫で待機しているその残量が気になってしかたがなくなるのよ。
 でもって可哀想でさ。
 今日もうっかり手にしてしまったが、こらえたぜい。







 ☾☀闇生☆☽


 お。
 どこかご近所さんが風鈴を出したな。