チームというものは、常勝しているうちは、それがどんなに寄せ集めであっても知らずにまとまっているものだ。
 いや、まとまっているからこそ勝つのだろう、と転倒して考えがちだが。
 たとえばサッカーなり、
 野球なりの日本代表チームが快勝すれば、チームはむろんのこと観客でさえも一体感を得るもので。
 問題は引くときに、出る。
 どんなに強い集団でも、勝ちっぱなしはあり得ない。
 いつかは負けるし、
 大敗とまではいかなくとも、ちょっと引くべきときが必ず来る。
 商売の世界でも、一進一退のせめぎあいなどは頻繁にある。
 その撤退の殿(しんがり)にこそ、各人の本性があらわになるもので。
 とどのつまりが人間性がぺろんちょと、むき出しになる。


 不肖闇生、エロDVD屋でござる。
 いわずもがなネットに押されて不況の餌食となっている次第である。
 大手の問屋に聞けば、毎日数件は解約、閉店の連絡が入る、そんな業界だ。
 先日も、某自動車メーカーの工場員の男子寮が閉鎖されたという。
 すると、その若き労働者に頼っていた周辺の商店が軒並み閉店を強いられて。
 むろんエロDVD屋なんぞ、ひとたまりもなく。
「商店街に人影がない」
 そう営業がこぼしていた。
 それはともかく、
 そんな厳しい状況であるからして、小売店側が日々の経営上の節制に躍起となるのも無理はなく。
 同じメーカーの同じ商品であっても、より安く、より便宜をはかってくれるところから仕入れるようになる。
 たとえば、買い取りしか認めなかったところよりは、委託(売上げ分だけを支払う)で扱ってくれるところにと。


 そんな事情で、とあるメーカーと解約することに。
 その際、返品の条件について、行き違いがあり、先方から問い合わせがあったのだが、これかまずかった。
 その若き営業マン。おそらくは開き直ってしまったのだろう。
 交渉中の相槌が「うん、うん」と、タメ口に。
 しかも、どうやらガムを噛みながら応対しているではないか。
 断わっておくが、こちらが『客』という立場である。
 彼個人の、ばかりでなくチーム全体のお里が知れようというもの。
 むろん、そこはエロ業界。
 癖のある連中が多いことは重々わかっているつもりだ。
 んが、あまりのことに言葉が出なかった。
 といって、やさしく叱ってやるのも、億劫で。
 して、広いようで狭いのがこの業界だ。
 こういうのってあっという間に口から口へと広まる。
 ましてや、うちらは作り手側にも顔がきく。
 案の定、この話にはどこでも食い付きがよく、決まってこう締めくくられる。
「あそこももう駄目だね」


 会社というチームに呑まれてしまってはいけない。
 んが、
 その一員である以上は、てめえひとりの感情でどうこうしてもいけない。
 引きどきや撤退戦こそは、ついつい『個人』の下からこの『てめえ』が顔を出そうとするからけったいなのである。
 

 辛抱と突進。
 そのメリハリが肝心なのは、エロも社会も同じである。
 して、
 おおかた辛抱が占めるもので。
 ならば、それをも楽しめっつの。
 若造よ。








 ☾☀闇生☆☽


 元若造より。