松本大洋著『GOGOモンスター小学館





 
 子どもにしか見えない宇宙を描いているという意味で『となりのトトロ』を彷彿とさせる。
 んが、
 それは作中の背景にそのいたずら描きがあるためだ。
 意図的に連想させているし、きっとオマージュでもある。
 松本の描く子どもの異界は、トトロの持つ神聖さと比べれば、もっとその闇側に重心を置いており、そのぶん子どもだけが感じられる得体のしれない恐怖として抽出されている。
 ここには、トトロに出会えた喜びや安堵はない。
 トトロが理想的な妄想であるのに比べて、こちらはその恐怖が白昼夢をリアルに仕立てる。
 むろん『妄想』に『リアル』だなんて矛盾しているのだが、子供のもつリアリティとはそういうものであって。
 そうそう、こんな感じだった。
 とまあ、そんな既視感を強烈に抱くのだ。


 それはともかくとしてだ、
 相変わらずこの人の絵はいいなあ。
 惚れちゃうね。
 パースの効いた構図を、レンズを意識したデフォルメでこなしていく。
 定規で引きっぱなしにした線でなく、つねに歪み。
 スクリーントーンを極力排する徹底した美意識。
 よってエンタメ漫画からは距離を置くが、そこに確固とした松本大洋の世界。
 説明的な言葉を遠ざけ、映画を意識した間(ま)とカットの連続でつむぎたす、その濃密な時間。
 それでこその、少年の時間。
 いつまでもこの感覚を忘れない大人でありたい。
 



 ☾☀闇生☆☽