壁の言の葉

unlucky hero your key


 おとといぐらいから、近所に聞きなれない鳥の声がする。
 ピロロロロリ。
 と尻上がりに鳴いて、そいつやけに浮いている。
 鮮やかなその音色から想像するに、どうも南国の原色系の鳥のイメージが沸くのだが、どこかから逃げたのだろうか。
 逃げられたのだろうか、だれか。
 

 日中、幾度も睡魔に襲われて、休日にかまけてそのたびに短い昼寝をむさぼった。
 ストレッチも筋トレも、そしてウォーキングもサボった。
 そのせいか夜、眠れない。
 仕事がつらくなるので無理にでも寝ておこうとおもうのだが、そういうときに限って自己嫌悪がとめどもなく。
 怒涛の劣等感と格闘し、
 死闘のすえにダウンを喫してフォールの体勢に、
「ワン、ツー、ス…」
 

 ええい。
 と跳ね起きて、何かしようとするが、こんどは頭がぼんやりとしてなにひとつ集中できない。
 




 ピロロロロロリ。
 夜明け前だっていうのに、もう鳴き始めている。
 元気なやつ。
 だれかを探しているのだろうか。



 ☾☀闇生☆☽