ホームに赤いものをぶちまけて、ぶっ倒れてんだ。
 瞳孔がひらいちゃって、仰向けで固まっちゃって。
 コーラのツナギのユニフォームを着た青年がよ。
 混雑時だから、通行人はみんなぎょっとなってた。
 たぶん赤ワインなんだろう。
 あんなになるまで呑まされて。
 季節がら新人歓迎会だろうか。
 お花見だろうか。
 仕事のユニフォームのままだから、勤務の後に事務所のようなところでざっくばらんに飲み会になったのかもしれん。
 

 ありゃねーな。


 いまどきもあるのね、
 酒で根性を入れる悪弊が。
 なんて不合理なことか。
 そういう不合理は、ここぞというときまでとっておくべし。
 だってな、
 合理的に生きようとしても、いつかどっかで必ずしくじってしまうものだ。人生なんつーもんは。
 あたしみたいにそこそこ生きてきてしまった奴にとっては、合理・不合理でいえば、再スタートは紛れもない不合理だ。
 努力も、
 再チャレンジも、
 頑張る、とか。
 あきらめないとか、
 そういう不屈のエネルギーというものは、みんなそうだろう。
 いっそ投げちまうほうが、合理的なのだよ。


 日々の人身事故に、それを思う。


 んで、
 そういう意味もあって、合理主義一辺倒の考えを、ちょっち警戒するのね。あたしゃ。
 なんせ人間そのものが、まず不可解で、もっとも不合理な生きもんなのだ。
 でしょ?
 ここぞという時にゃ無駄や不合理で踏ん張る生きもんなのよ。
 たぶん。
 いや、きっとだ。


 コーラの青年よ。
 悔いろよ。
 悔いつつ、馬鹿のしどこを覚えていけよ。
 呑ませた先輩どもよ、
 このバカチンがっ。
 



 要は、不合理をいかに合理的に機能させるか、かな。






 ☾☀闇生☆☽


 そんなわけで。
 とはどんなわけだか知らんが、無駄遣いと知りながら映画を観た。
 『バンク』を狙ったが時間があわず、アメコミ原作の『ウォッチメン』にする。
 まるで集中できない。
 暗くて、しかも性愛込みの恋愛が、どうしたこうしたとかったるく。
 しかも異様に長くて、途中で退席してしまった。
 どんなにつまらない映画も、かならず最後までノンストップで観るのが映画に対する礼節だとまで思っていたのだが。
 今の精神には耐えられなかった。
 体調も、変だ。